研究課題
室温における磁性絶縁体YIGのマグノン量子凝縮を観測するため、YIG試料およびマイクロ波ストリップラインとペルチェ素子構造をブリルアン散乱分光装置(BLS)レーザー系に取り込んだ。マイクロ波ストリップラインに注入するマイクロ波強度を最大で3Wに達するように、マイクロ波アンプによって入力マイクロ波を増幅し、マイクロ波照射法(パラメトリック励起)によって引き起こすマグノン数増大過程を研究した。マグノンの量子凝縮過程において、マイクロ波で生成させたマグノンがエネルギー再安定状態に落ち込むまで数百ナノ秒の時間がかかった。多数のマグノンのエネルギー安定化すなわち量子凝縮過程を時間分解で研究するため、前年度に到達したパルス・マイクロ波励起法と同期を取ることで、BLSスペクトルの時間発展を観測した。さらに、運動量分解測定も行うため、ピンホールによる反射光分割を行い時間・波数同時分解測定を行った。この結果、運動量がマグノン分散関係で示される最安定状態に落ち込むことを実験的に確認できた。さらに熱的スピン流注入効果の測定を行ったところ、数ケルビンの温度差によるスピン流注入下では現在のところ安定に量子凝縮相を観測できていた。一方、YIGの熱安定性から数十ケルビンの温度をつけた場合の量子凝縮相では分光測定に難しさを伴い、レート方程式などの確立には至っていない。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Applied Physics Letters
巻: 106 ページ: 132412
10.1063/1.4916989