研究課題/領域番号 |
25706006
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
樋口 剛志 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (50547304)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ナノ構造創製 / ミクロ相分離 / らせん / 金属化 |
研究実績の概要 |
本年度は、前年度に引き続いてメゾ金属らせん構造アレイの作製手法の確立およびその最適化を行うとともに、らせん構造の金属化を試みた。 ①らせん構造アレイの作製手法の確立および最適化 前年度までに検討していたPoly(syrene-b-2-vinylpyridine-b-methyl methacrylate)の他に、Poly(butadiene-b-2-vinylpyridine-b-tert. butyl methacrylate)とPoly(syrene-b-2-vinylpyridine-b-tert. butyl methacrylate)に関して検討を行った。それぞれのポリマーをテトラヒドロフランに溶解させ、キャストフィルムを作製した。内部構造を透過型電子顕微鏡によって観察した結果、Poly(butadiene-b-2-vinylpyridine-b-tert. butyl methacrylate)は秩序構造を形成しなかった。このことより、最初のポリマー鎖はPolystyreneであることが重要であるということが明らかになった。
②らせん構造の金属化 Poly(syrene-b-2-vinylpyridine-b-methyl methacrylate)の中央ブロックであるPoly(2-vinylpyridine)鎖の金属化を試みた。トリブロックコポリマーと塩化金酸をTHFに溶解させ、24時間かけて錯形成させた。その後、このTHF溶液からキャストフィルムを作製し、金イオンを加熱還元させた。内部構造を透過型電子顕微鏡によって観察した結果、Poly(2-vinylpyridine)相に多数の金粒子が形成していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
らせん構造の最適化にはまだ検討の余地はあるが、ミクロ相分離構造の選択的な金属化に成功しいていることから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続いてメゾ金属らせん構造アレイの作製手法の確立およびその最適化を行うとともに、メゾ金属らせん構造の光学物性測定を試みる。 ①メゾ金属らせん構造アレイの光学物性測定 作製したメゾ金属らせん構造アレイに対して、円二色性分散計より可視光領域全域におけるCDスペクトルを測定することで、メゾ金属らせん構造アレイに由来する光学特性の評価を行う。また、円偏光した可視光の透過率を測定することで、メゾ金属らせん構造アレイの偏光特性の評価を行う。
②らせん構造アレイの作製手法の確立および最適化 円二色性分散計により得られた光学特性を参考にして、用いるポリマーの分子量の組み合わせや、Poly(2-vinylpyridine)鎖に配位させる金属イオンの濃度を変化させることで、形成されるらせん構造の太さや、らせん間隔等の構造パラメーターの微調整と金属化条件の最適化を行う。
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