研究課題/領域番号 |
25706007
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
白土 優 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70379121)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 磁性材料 / スピントロニクス / 磁性メモリ / 表面・界面 / 薄膜 |
研究概要 |
絶縁性反強磁性体であるα-Cr2O3(0001)薄膜を用いて、電界効果による界面磁性の制御に関する研究を行った。α-Cr2O3(0001)薄膜に電界印可可能な素子作製、ならびにa-Cr2O3薄膜の単結晶化を可能にする導電性下地層の探索について、重点的に研究を行った。前者に対しては、微細加工技術を駆使することで、α-Cr2O3(0001)薄膜を組み込んだ素子のサイズを40 μm以下とすることで、良好な絶縁性を確保できることを明らかにし、また、本素子に対して電界印加が可能であることが分かった。さらに、この素子に対して電流印加による界面磁性の反転が可能であることを見出した。本成果については、電流効果・電界効果の双方の観点からそのメカニズム界面を進めており、論文投稿、学会発表を準備している。 後者については、α-Cr2O3層の下地層として、α-V2O3層を用いることで、フルエピタキシャルな単結晶薄膜が作製できることを見出した。本成果は、2014年春の応用物理学会において報告済みであり、現在、放射光を用いた詳細な構造解析を進めている。本構造解析が完了次第、論文投稿を行う。 また、本研究の遂行に際して、α-Cr2O3と強磁性層界面に約1原子層のPt層を挿入することで、交換磁気異方性が高温領域で再発現する、特徴的な現象を見出した。本成果については、2013年12月にApplied Physics Expressに掲載済みであり、また、2014年春の応用物理学会においても報告済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた、電界印加可能なα-Cr2O3薄膜の作製に成功し、また、α-Cr2O3薄膜の単結晶化のための最適な下地層の選定も完了した。これらの研究項目は、本研究課題開始時の予定とほぼ一致しており、このことから、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に作製に成功した電界印加型素子に対して、電界による交換磁気異方性の反転を目指す。また、単結晶化に成功した薄膜を用いて、単結晶薄膜に対する電界効果を検討することで、電界効果の本質的な起源を明らかにすることを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の当初予定では、本研究の主要な計測装置である磁気光学Kerr装置用の専用試料ホルダの設計、作製を予定していたが、本ホルダの設計を申請者自身で行うことで予算の削減と行った。また、平成25年度に得られた結果を踏まえて、当初予定していた改良機能に加えて、ベクトル磁化測定が可能な高機能が有効であるとの結論に至ったため、当初平成26年度に予定していた改良機能に、ベクトル磁化測定機能を上乗せすることで、平成26年度予算と合算して使用することとした。 平成25年度の繰り越し額に関しては、平成26年度の請求予算と合算して、上記の改良を行う。具体的には、平成26年10月までの設置を目指して、磁気光学Kerr効果にベクトル磁化測定機能を付与する性能改良を行う。
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