研究課題/領域番号 |
25706008
|
研究種目 |
若手研究(A)
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
八木 俊介 大阪府立大学, 21世紀科学研究機構, 講師 (60452273)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 電解合成 / フレームワーク構造 / 電気化学水晶振動子マイクロバランス / 酸化還元反応 |
研究概要 |
本年度は研究計画に従って、フレームワーク構造体材料であるプルシアンブルーやその類似体の薄膜を電解法により合成するとともに、その電気化学的特性について解析を行った。特に、プルシアンブルーやその類似体の酸化還元反応にともなうカチオンの挿入・脱離について、電気化学QCM(水晶振動子マイクロバランス)法を用いて詳細に調べた。リチウム(イオン)電池用電解液中において、プルシアンブルーを還元することによりリチウムイオンが挿入され、逆に酸化することによりリチウムイオンが脱離されることが知られているが、本研究によって、リチウムイオンの挿入・脱離のみならず、対アニオンであるヘキサフルオロリン酸イオンの吸着・脱離が同時に進行することを明らかにした。プルシアンブルーの酸化還元反応にともなうヘキサフルオロリン酸イオンの吸着・脱離反応は電気化学キャパシタ的な挙動であり、ヘキサフルオロリン酸イオンの吸着の度合いが大きい場合、リチウムイオンの脱離反応を阻害する挙動が観察された。すなわち、プルシアンブルーおよびその類似体を蓄電池(二次電池)の活物質やイオンの導電体として使用する場合、フレームワーク構造やカチオンの大きさのみならず、アニオンの大きさやその挙動についても検討しなければならないことが示唆された。以上の結果についてまとめた論文がJ. Mater. Chem. A誌に掲載予定である。プルシアンブルーやその類似体析出のメカニズムについても電気化学QCM法を用いて詳細に検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた、プルシアンブルーおよびその類似体の電解合成反応のメカニズムの明確化のみならず、数種類のプルシアンブルー類似体の薄膜の合成に成功している。また、合成した薄膜電極活物質を使用し、カチオンの挿入・脱離挙動について電気化学QCM法により解析を進めることができた。以上の成果の一部については論文として掲載が決定しており、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
現在は基礎的な知見を幅広く得ることを目的に、主に1価のカチオンの挿入・脱離反応を解析しているが、次年度は多価カチオンの挿入・脱離反応についても詳細に検討を行う。この場合も主に電気化学QCM法により、挿入・脱離過程のその場観察を行い電極活物質やイオン導電性材料としての可能性を調べる予定である。またこの先も順調に研究が進展した場合、他のフレームワーク構造材料についても合成法を検討し、その電気化学的特性について調べる予定である。
|