研究課題/領域番号 |
25706009
|
研究種目 |
若手研究(A)
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田川 美穂 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40512330)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | DNA self-assembly / Nanoparticle / Atomic Force Microscopy / Superlattice / ナノ粒子 / 超構造 |
研究概要 |
本研究は、DNA分子あるいは数本のDNA分子からなるDNAナノ構造体をガイドとしてナノ粒子を二次元、三次元の秩序的な構造へとプログラマブルにアセンブルし、ナノ粒子超構造を作成することを目的とする。ナノ粒子表面に被覆するDNAの塩基配列、あるいはDNAナノ構造体から生える一本鎖DNAの結合手の塩基配列を変化させることにより粒子間相互作用を制御することが可能であるため、ナノ粒子超構造の構造を制御することができる。具体的には、下記二つの項目を並行で進めた。 (1)結合手を持つDNA正四面体を介在させたDNA被覆ナノ粒子(DNA-NP)の三次元結晶化 (2)基板担持脂質二重膜(SLB)上におけるDNA-NPの二次元結晶化 研究環境の事情によりシンクロトロンX線小角散乱装置が必要な(1)の課題よりも、ラボベースでできる(2)の課題を優先して進めたという点で申請時の実施計画からの変更が生じたが、(2)に関しては当初の計画以上の進度で進めることができた。(1)の三次元結晶化に関しては、DNA-NPと、それに結合する四本の結合手を持ったDNA正四面体が、同程度の大きさのときにダイヤモンド構造となることが確認できている。この構造決定のメカニズムを明らかにするために、本年度はDNA-NPよりも大きいDNA正四面体を介在させた三次元結晶化を行った。この大きいDNA正四面体によりダイヤモンド構造とは別の結晶構造が形成されることは確認されなかったが、ダイヤモンド構造形成にはDNA-NPとDNA正四面体の大きさの比が重要であることが確認できた。 (2)の二次元結晶化に関しては、均一なSLBを製膜する技術、DNA被覆ナノ粒子をSLBに吸着・拡散・二次元結晶化する技術を確立することができた。原子間力顕微鏡測定により、結晶性の良い三角格子の結晶が確認されている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「ナノ粒子三次元結晶の解析に必要なX線小角散乱装置の使用環境が国内で整わなかったという研究環境の事情により、三次元結晶化の実験よりも二次元結晶化の実験を優先して進めた」という点において申請時の研究計画から変更はあったものの、二次元結晶化に関しては申請時の計画以上に研究が進んだため。
|
今後の研究の推進方策 |
三次元結晶化と二次元結晶化を平行して進めるものの、二次元結晶化の研究が予想以上に進展したため、26年度もラボベースで進められる課題2を優先的に進める方針である。 (1)DNA被覆ナノ粒子(DNA-NP)の三次元結晶化 DNA-NPとDNA正四面体の大きさの比を変化させた場合の、出来上がる結晶構造に関し引き続き追求する。大きさの比、等量比を変えてダイヤモンド構造以外の構造が形成されるかどうかを探る。 (2)基板担持脂質二重膜(SLB)上におけるDNA-NPの二次元結晶化 ナノ粒子を被覆するDNAの塩基配列を変化させることでDNA-NP間の相互作用を制御し、二次元結晶の構造制御を行う。二次元結晶の構造解析は、原子間力顕微鏡及び二次元小角散乱により行う。また、SLBの拡散係数の見積もり及びSLB上のDNA-NPの拡散メカニズムを解明し、高品質の二次元結晶化を目指す。
|
次年度の研究費の使用計画 |
25年度は大学から配分される女性支援経費を本研究推進のために優先的に充てたため、基金に残額が生じた。 大学から配分される女性支援経費は25年度で終了のため、本年度は本研究費のみで本研究を遂行する必要がある。来年度も基板担持脂質二重膜上におけるDNA被覆ナノ粒子の二次元結晶化を申請時の計画以上に進める予定である。よって、高品質のマイカ基板や脂質の二次元流動性を調べるための蛍光プローブ等の購入額が膨らむ予定であるため、25年度繰り越し分をこれらに充てる。
|