マイクロ空間よりも3桁小さい空間である拡張ナノ空間(10-100nm)の研究ツールを申請者らははじめて創成して、特異な溶液物性を明らかにしてきた。また、単一細胞よりも桁で小さいナノ空間に分析機能を集積化する研究にも取り組んでおり、iPSや癌細胞などを単一でしかも生きたまま分析できる極限分析デバイスの創成が期待されている。そのためには、拡張ナノスケールに適した新たな光プロセス(化学反応・修飾・検出法)が必要である。しかし、拡張ナノ空間は光の回折限界よりも小さく、従来の光プロセスは適用困難であった。そこで、本研究ではフォトニクスの分野で知られており化学にはあまり適用されてこなかった近接場光を拡張ナノ空間化学に取り込む新しい方法論を創成して、拡張ナノ化学・バイオに必要な光化学プロセスを世界に先駆けて実現することを目的とした。 昨年度までの2年間はガラストップダウン加工と機能材料(光触媒TiO2)ボトムアップ加工による近接場化学反応プロセスの確立して、部分表面修飾に応用した。最終年度の本年度は近接場光効果を用いて可視光でUV吸収物質を高感度に計測する方法を確立した。以上から、本研究の目的を達成した。
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