研究課題/領域番号 |
25706015
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー |
研究代表者 |
大崎 寿久 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー, 人工細胞膜システムグループ, 研究員 (50533650)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 生体機能模倣 / 生体分子 (膜タンパク質) / 脂質 / マイクロ・ナノデバイス / 合成生物学 |
研究概要 |
従来の人工細胞研究において「膜」はバリア性のみの脂質二重膜小胞(リポソーム)が多く用いられてきた。これに対して本研究では、物質・情報・エネルギー交換機能を担う膜タンパク質をリポソーム膜に組み込んだ「均一で細胞サイズのプロテオリポソームアレイ、すなわち人工細胞膜アレイ」を実現することを目的としている。申請者の先行研究成果(若手B 平成23~24年度)を基盤として、1.膜タンパク質が再構成された細胞サイズのプロテオリポソームアレイ形成技術の確立し、2.再構成された膜タンパク質の基質結合・輸送機能の計測(活性評価)を目指している。 平成25年度は、1.膜タンパク質が再構成された細胞サイズのプロテオリポソームアレイ形成技術について研究を行った。特に、以下のベシクルスプレー法について集中的に検討を行い、再構成された膜タンパク質の機能活性を示唆する結果を得ることができた。 リポソームアレイ形成法では、エレクトロスプレー技術と基板の微細パターニングと組み合わせることで脂質の選択塗布を可能にした。ベシクルスプレー法による膜タンパク質再構成リポソーム形成では、プロテオベシクル水溶液をエレクトロスプレーにより選択塗布し、パターニングされたプロテオベシクルの水和と同時に細胞サイズのプロテオリポソームアレイを形成させる。スプレー後の膜タンパク質の活性を保つための保湿材(グリセリンなど)をプロテオベシクル水溶液に混合する点について検討を行い、その結果、ATP依存的に基質を輸送する膜タンパク質FoF1の活性を示唆する結果を得ている。本成果は、膜タンパク質を簡便にリポソームに再構成する手法の一つになり得る点で重要である。平成26年度以降も本法の技術確立と、再構成された膜タンパク質の活性評価に取り組む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の目標である1.膜タンパク質が再構成された細胞サイズのプロテオリポソームアレイ形成技術の確立は、再構成を試みた膜タンパク質FoF1が膜中に存在するかの確認、および、そのATP依存的な輸送活性確認ができたことから概ね達成できたものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度も膜タンパク質の再構成手法について、引き続き検討を進める。特に、ベシクルスプレー法は平成25年度の研究成果により、再構成された膜タンパク質が活性を維持していることを示唆する知見が得られつつあり、優先的に研究を行う。さらに、再構成された膜タンパク質の活性評価についても、再構成手法の妥当性を証明するため、より詳細な機能計測を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度の研究途上で得られた知見により、リポソーム上に再構成された膜タンパク質の活性評価を蛍光観察で行う場合、蛍光性基質の高感度な計測手法が必要となることが予測された。そこで、初年度の消耗品費支出を極力抑制し繰り越すことで、平成26年度予算と合わせて顕微鏡の高感度化を目的とした研究費使用を計画した。 上述の通り、繰り越し分を合わせて顕微鏡高感度化のためのユニット、レンズ類の使用を計画している。
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