研究課題/領域番号 |
25706017
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
林 将光 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (70517854)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | スピンエレクトロニクス |
研究概要 |
本年度は磁性へテロ構造における電流誘起有効磁場の評価方法を確立した。有効磁場を求めるには、磁性へテロ構造を使って作製したホールバーに交流電流を印加し、発生するホール電圧の基本波と第2高調波の印加磁場依存性を調べる。 これまでは、この方法を用いた有効磁場の測定方法は垂直磁化膜にのみ適用可能であった。また、ホール電圧に異常ホール効果以外の電圧(例えばプレーナーホール効果による電圧)がのると、その取り扱いが難しくなり、有効磁場を正確に導出できない課題があった。 本年度は、ホール電圧にプレーナーホール効果が上乗せされた場合に有効磁場を正確に求める方法を確立し、また、面内磁化膜でも有効磁場を測定する手法を見出した。 まず、異常ホール効果とプレーナーホール効果が共存する場合のホール電圧を計算し、解析解を求めた。次にLandau-Lifshitz-Gilbert方程式に電流誘起有効磁場の項を入れ、交流電流を印加した際の磁化の変化によるホール電圧を数値計算で求めた。近似解は数値計算とよく一致しており、実験との比較に利用できることがわかった。次に得られた解析解を使って実験で得られたホール電圧をフィティングし、有効磁場を求めた。その結果、得られた有効磁場は他の手法(磁化反転に必要な閾値電流の外部磁場依存性から求めた有効磁場)とほぼ同等の値が得られた。この手法を利用して、様々な積層構造における電流誘起有効磁場測定が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膜測定手法を確立し、磁化が面内、面直どちらの方向を向いた場合でも電流誘起有効磁場の見積もりが可能となったため、今後の研究を予定通り実施できる。
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今後の研究の推進方策 |
積層構造などを変えて有効磁場の温度依存性や電界効果、界面垂直磁気異方性などの界面電子状態との関連などを調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成26年度も人件費が必要となるため。 ポスドク研究員の人件費(2名分)とスパッタターゲットなどの消耗品費等。
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