研究課題
若手研究(A)
高耐久性NEAフォトカソードを用いて、二光子励起過程によりスピン偏極電子線を生成できることを実証する。本年度は下記の成果を収めた。① 二光子励起実験用光学系の構築: フェムト秒レーザーの準備、既存のフォトカソード励起用光学系を群速度分散保証光学系へ変更し構築した。② パルス電子線測定系の準備: 既存のスピン偏極透過電子顕微鏡に上記のレーザー光を導入し、通常の一光子励起状態にてパルス動作をファラデーカップ型電流モニターならびに高速偏向器とCCDの組み合わせによる測定系により直接測定した。また、ロックイン検出を用いたパルス電流測定系の構築のためトリガー信号用高速ディテクター、ライトチョッパーを導入した。③ 二光子励起実験用フォトカソードの設計・作成: 高耐久性NEAフォトカソードとしてInGaN結晶を選択し、そのバンド構造計算を自作プログラムを作成し行い、構造設計とその作成を行った。励起レーザー波長に合わせ、InGaNは二光子励起が可能なバンドギャップ390nmとものと447nmの二つを作成した。これは励起レーザーを背面照射(電子放出面の裏面)可能な構造になっており、二光子励起実験を実現するための構造をクリアしている。この結晶のうちバンドギャップ447nmのInGaNを用いて、NEA表面作成が可能であることを確認した。
2: おおむね順調に進展している
当初計画の3項目について、滞ることなく進んでいるため。また、パルス電子線測定についても予想以上に精度よく測定できることが分かってきている。
順調に進行しているため、当初計画に従って遂行する。まず、フォトカソード用半導体をクライオスタットを用いてPL測定を行い、バンドギャップエネルギーの確認を行う。さらにPLE測定を行い結合状態密度を測定し、前年度測定した量子効率スペクトルとの一致を確認し、一光子吸収の場合の吸収長の測定を実施する。次に、PL測定による非線形光学効果の確認を行う。PL測定において励起光源をフェムト秒レーザーに変更し、二光子吸収による発光を測定を実施する。励起パワーと発光強度依存、励起波長と発光強度スペクトルを測定し、再結合発光からも半導体フォトカソード結晶中で二光子吸収が起こっていることを確認する。これら実験の裏打ちの下に、二光子励起によるスピン偏極電子線発生実験を行う。
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