研究課題/領域番号 |
25707002
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
谷口 隆 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60422391)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 代数群の整数論 / 概均質ベクトル空間 / 余正則空間 / ゼータ関数 / 密度定理 / 国際情報交換,米国 |
研究実績の概要 |
(1)概均質ベクトル空間と余正則空間について,基本領域のカスプ部分について研究を行った.本年度は,余正則空間の中でもっとも基礎的なケースと考えられている2変数4次形式の空間の場合を特に詳しく調べた.この空間に伴う整数論的な不変量の一つが,種数1の曲線のある種の「周期積分」によって記述されることが分かった.これまではあまり意味のよく分からなかった量なので,解釈を一つ得たのは意味があると考えられる.整数論的に興味深い他の多数の余正則空間についてカスプ部を調べるときにも,ひとつの指針になるのではないかと考えられる.
(2)カスプ部の研究には,概均質ベクトル空間の場合は,ゼータ関数を用いる方法と「数の幾何」を用いる二つの方法がある.両者に密接な関係があると考えられているが,それが完全に理解されているとはいえない.また,ゼータ関数の理論はかなり複雑になっているものが多い.本年度は,ゼータ関数の理論をより簡易化・明晰化することを試みた.その結果,やはり重要かつ基本的なケースである2変数3次形式の空間の場合について,ゼータ関数の理論をこれまでより単純化することができた.このことにより「数の幾何」との関係がより直接的に捉えられるようになると考えられる.また,これらの理論が機能するメカニズムをよく分析することで,これまで難しいとされてきたより複雑な概均質ベクトル空間のゼータ関数についても,研究できる可能性があると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ある特別な余正則空間について,空間に伴って定まる整数論的な不変量のひとつが,カスプ部分の分析によって,一定の解釈を得た.また,概均質ベクトル空間のゼータ関数の理論を,ある場合に簡易化・明晰化できた.これらの成果は,今後の研究の指針を与えると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
さまざまな余正則空間に伴う整数論的な不変量の解釈を与える.またその解釈がさらに明快になるように,多方面から意味を検討する.概均質ベクトル空間のゼータ関数についても,より広範なクラスに対し検討し,「数の幾何」との連関を見出すことで,これまで難しいと考えられてきたケースについて,研究を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究費を効率的に使用し,残額が発生した.
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次年度使用額の使用計画 |
研究代表者を中心として,さまざまな技法から代数群の整数論を研究している世界中の若手研究者を研究協力者として,連携を密に取りながら研究を進める.このために,研究代表者が国内外の渡航を何度か行うほか,ある程度の期間にわたって複数の国内外の研究者を招聘して研究活動を行う.
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