最終年度である昨年度、本研究課題を総括する研究集会を開催する予定であったが、海外研究協力者の都合により、今年度に実施する方が効果的であることが判明したために、昨年度は研究集会を開催しなかった。今年度、2017年6月7日~9日にこの研究集会を「神戸整数論集会2017」の名で開催した。海外からの3人を含む12名の講演が行われた。連携研究者や研究協力者が成果を共有することができ、また Stanley Xiao 氏(オックスフォード大)や石塚裕大氏(京都大)など、関連分野の若い研究者と交流することができ、有意義であった。概均質ベクトル空間のゼータ関数の双対恒等式について、近年興味深い成果が出ていることを確認した。Frank Thorne 氏、Stanley Xiao 氏、石塚裕大氏とは、研究集会後に数日間の研究討論を行い、代数群の表現に関して、整数論的な見地からは今なお多くの基本的な問題が残っていることを確認した。
David Lowry-Duda(ウォーリック数学研究所)、Frank Thorne 氏(南カロライナ大)と行った共同研究で、ディリクレ級数の係数の平均値の漸近評価を与える Landau の方法の「一様版」を証明した。これにより、いくつかの古典的な格子点問題について、一様な評価を与えた。またこの成果は、概均質ベクトル空間のゼータ関数を篩法に効果的に用いる新しい手法としても適用でき、今後研究を進める予定である。この成果は論文にまとめ、学術誌に投稿中である。
Frank Thorne 氏とは、この他にも概均質ベクトル空間のゼータ関数についていくつかの視点から研究討論を行った。
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