| 研究実績の概要 |
宇宙物質優勢と軽いニュートリノ質量の謎を解く鍵は, ニュートリノのマヨラナ性にある. 本研究は, ニュートリノのマヨラナ性を136Xeのニュートリノを放出しない２重ベータ崩壊(0vbb)検出による実証を目的に, 次期KamLAND-Zenへ向けたR&Dを行った.
KamLAND-Zenでは宇宙線の原子核破砕で作られる10C崩壊や液シン中に含まれる110mAgが0vbbが探索のバックグランドになっている. これらはγ線を伴う崩壊であり, 液体シンチレータ中ではvertexが広がると考えれている. 一方, 0vbbは点状のvertexになると考えられる. そこで, vertex広がりを撮像可能なイメージングカメラを開発し, β線とγ線の識別が原理的に可能であることを実験的に示した.
また, Xe容器であるミニバルーン中の214Biが214Poに崩壊するバックグランドを低減する方法として, 214Po崩壊で生じるα線で検出して214Bi崩壊を高効率でタギング可能な光るバルーンを開発した. 特に, 本年度は小型バルーンを組み立てて, 光るバルーン製造の現実性を確認した.
さらに, 次期KamLAND-Zen実験へ向けたデッドタイムフリーでEthernet読み出し可能なFADC回路の開発や高光量子効率を持つ光電子増倍管の性能評価なども進めた.
その他に, KamLAND/KamLAND-Zenのデータ解析を進め, 当初予定になかったγ線バースト起源のニュートリノ探索や超新星前兆ニュートリノの検出可能性を評価して, 論文にまとめた.
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