研究課題
これまでスーパーカミオカンデで用いられてきた20インチ径光電子増倍管(PMT)に比べて、ハイパーカミオカンデでは高性能・低コストで長期測定が可能な実用性が得られるように、新型「ハイブリッド型光検出器(HPD)」の実現を目指して開発を進めてきた。これまでの研究で、小型の8インチ径HPDの実証試験を開始し、20インチHPDの第一試作機性能を初めて評価した。実証試験を始めるにあたり、事前に8インチ径HPDの高電圧に対する耐久性向上・水中での安全運用試験を行い、性能の評価や較正を行った。夏には、これら8本の8インチ径HPDを200トン水タンク内に取り付け、他の20インチ径PMT232本と合わせて、水チェレンコフ検出器としての実証測定を始めた。結果として、水タンク中での観測に成功し、温度や電圧の監視システムを構築して長期での実証試験に移行した。スーパーカミオカンデと同様の較正・性能評価も行い、低いノイズレートと高い性能を確認して、良好な結果が得られている。8本中1本のみ高電圧電源に支障が見られたが、この問題を解決する開発も順調に進んでいる。並行して、目標である20インチHPDの開発が進んでおり、初期型試作機を実測した。従来のPMTに比べて光電子数と時間に対する高い検出性能を確認でき、ハイパーカミオカンデの物理感度向上が期待される。検出効率の確保や耐久性の確認など課題は残されているため、長期実用性検証試験に向けて設計の見直しや回路開発・評価試験の準備などを進めている。
3: やや遅れている
目標である8インチHPD実証試験開始と、開発版20インチHPDの実測を実現できた。開発版20インチHPD測定時期がやや遅延し、アンプなどの回路開発に難点があるなど、開発の一部では遅れも見られる。
現在試験中の8インチHPD実証試験結果を得て、実証試験用20インチHPDの完成を目指す。20インチHPDの完成時期と取り付け可能な時期は若干の遅延が見込まれるが、順次延長し可能な時期に行うように取り計らう。
開発版20インチHPD測定時期がやや遅延し、アンプなどの回路開発に難点があるなど、開発の一部で遅れが生じたため。
予定していた物品は既存しないため、設計・開発や製作打ち合わせに想定より時間を要し、電源や測定機器の納入時期が先延ばしされた。既に準備は整っているため、遅延はあるが予定していた用途と流れで支障なく計画を遂行できる見込みである。
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Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A
巻: 732 ページ: 303-305
10.1016/j.nima.2013.05.122
Nuclear Science Symposium and Medical Imaging Conference (NSS/MIC), 2013 IEEE
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10.1109/NSSMIC.2013.6829483