研究課題/領域番号 |
25707021
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
西口 創 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (10534810)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 素粒子実験 / ミュー粒子 / 粒子測定技術 / ガス検出器 / 真空技術 |
研究概要 |
研究計画初年度の主要な開発項目として想定していた、薄膜を超音波溶接によって溶着成形する極薄ストローの開発が、JINR研究所(ロシア)の協力のもと極めて順調に進み、当初計画より早い段階で完成した。2種類の膜厚のストローの製作に成功し、最終的なストローチェンバーとして実装する際には、その双方を採用出来る設計で開発を進めた。このストロー開発と並行して進めたガスマニフォールドデザインの最適化も順調に進んだこと、またロシア側での新たな予算措置もあったことから、計画を前倒しして、極薄ストロー・真空チェンバー・ガスマニフォールドの3体からなるストローチェンバーの実装まで一気に開発を推し進めた。これは当初計画では2年目の主要開発項目であった。 当初計画よりも前倒しして、メインの検出器試作機が完成したため、今後の研究計画では、完成した検出器の詳細な動作試験を通じて検出器の理解を深め、新検出器の較正システムまで含めた全体完成を急ぐ。研究計画の最終目標は、新検出器の真空中での安定動作であるため、真空中での動作の詳細な研究を今後進めて行くことになる。真空中での動作検証には時間を要することが想定されたが、新検出器の開発が当初計画よりも前倒しして完了したことで、研究計画内で十分に完了出来る見込みである。 当初、本研究にて開発した検出器の研究内容を研究計画完了時に国際学会にて発表する計画であったが、新検出器の開発が前倒しして完了したため、研究計画2年目に途中段階で発表するべく、国際会議(3rd Technology and Instrumentation in Particle Physics conference: TIPP2014)に概要提出し、口頭発表が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
極薄ストローの開発が当初計画より順調に進んだこと、並行して進めていたガスマニフォールドの開発も順調に進んだこと、またロシア側共同研究者において新たな予算措置があったことから、研究計画2年目に予定していたストローチェンバー検出器としての実装を前倒しして実施した。そのため、2年目の研究では、新検出器の動作試験・真空中での動作の研究に集中することが出来る見込みで、研究計画は当初計画以上に順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
新検出器の開発まで既に完了したため、今後は、主に「新検出器の基礎特性測定」、「較正システムの開発研究」、「真空中での動作研究」の3点に重点を絞って進めることになる。特に、真空中での動作研究に関しては時間を要することが見込まれていたため、当初計画以上に進展していることは極めて重要で、当初研究計画内に全ての開発項目を完了することが出来る見込みである。 基礎特性測定に関しては、既に1年目終盤より準備を進めており、 較正システムの開発に関しては、今後センサー類の実装を進めてこれを完成させる。従って、基礎特性測定を2年目前半に終え、それと並行して較正システム開発を進め、2年目後半から3年目に掛けて真空中での動作研究を実施する計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
開発が前倒しになり、機器製作の詳細が計画と若干変わったため。 較正システムに用いるセンサー費用に補填。
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