本研究では、紅色細菌由来光合成アンテナにおける初期エネルギー伝達過程を明らかにするため、5フェムト秒極超短光パルス発生及びそれを用いたコヒーレント分光計測技術の構築を行った。光合成アンテナ中の光合成色素バクテリオクロロフィルで構成される2つのリング会合体B800-B850間エネルギー伝達に着目し、5フェムト秒コヒーレント分光計測を行ったところ、リング間の電子コヒーレンスに起因する量子ビート信号が観測された。フーリエ解析より、観測された量子ビート信号がマルチモードであることが示され、このような電子コヒーレンスが高効率な光合成エネルギー伝達に役割を果たすことが示唆された。
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