X線自由電子レーザーを用いたポストスピネル相転移のフェムト秒時分割観察

2016 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 25707041
• 研究機関: 公益財団法人高輝度光科学研究センター
• 研究代表者: 丹下 慶範 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 研究員 (70543164)
• 研究期間 (年度): 2013-04-01 – 2017-03-31
• キーワード: X線自由電子レーザー / レーザー衝撃圧縮 / 衝撃波伝播過程 / その場観察 / コランダム

研究実績の概要

昨年度まで使用してきたパルス幅500ピコ秒のショートパルスレーザーに替わり、今年度はパルス幅3ナノ秒のロングパルスレーザーを使用したレーザー衝撃圧縮実験を行い、衝撃圧縮過程にある試料をX線自由電子レーザーによりその場観察した。試料には超高圧実験において変形量測定や弾性波速度測定の較正物質として使用され、また工業的にもファインセラミックス材などとして広く用いられている酸化アルミニウム（コランダム）を採用し、衝撃圧縮された際の応答挙動を時分割観察した。
厚さ20ミクロンのコランダム多結晶試料に対しロングパルス高強度ポンプレーザーを照射した後、数ナノ秒から十数ナノ秒までの間を500ナノ秒から1ナノ秒間隔で遅延時間を変化させながら、パルス幅10フェムト秒のX線自由電子レーザーを照射しX線回折測定することで、衝撃波が伝播している最中のコランダムの格子面間隔の変化を完全なスナップショットとして捉えた。一連の時分割測定の結果、衝撃波がコランダムに到達した直後は、コランダムが平均1ミクロン程度の初期粒径を保ったまま数万気圧程度までわずかに圧縮され、その数ナノ秒後わずか500ナノ秒以下の極短時間に、粒径が100ナノメートル以下にまで砕かれると同時に50万気圧程度まで圧縮される様子を、初めて明確にその場観察することができた。また圧縮された試料はパルス状衝撃波通過が通過し衝撃波の先頭が端面に到達した直後には、500ナノ秒以下の短時間の間に数十万気圧という圧縮状態からマイナス十万気圧に相当する引張状態に転化した。
これらの実験結果に基づき国内の学会で研究発表を行い、論文投稿にむけて準備を開始した。

現在までの達成度 (段落)

28年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

28年度が最終年度であるため、記入しない。

次年度使用額が生じた理由

28年度が最終年度であるため、記入しない。

次年度使用額の使用計画

28年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] Precise determination of the phase boundary between coesite and stishovite in SiO2 (2017)
  • 著者名/発表者名: S Ono, T Kikegawa, Y Higo, Y Tange
  • 雑誌名: Physics of the Earth and Planetary Interiors 巻: 264 ページ: 1-6
  • DOI: https://doi.org/10.1016/j.pepi.2017.01.003
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Ultrafast observation of lattice dynamics in laser-irradiated gold foils (2017)
  • 著者名/発表者名: NJ Hartley, N Ozaki, T Matsuoka, B Albertazzi, A Faenov, Y Fujimoto, H Habara, M Harmand, Y Inubushi, T Katayama, M Koenig, A Krygier, P Mabey, Y Matsumura, S Matsuyama, EE McBride, K Miyanishi, G Morard, T Okuchi, T Pikuz, O Sakata, Y Sano, T Sato, T Sekine, Y Seto, K Takahashi, KA Tanaka, Y Tange, et al.
  • 雑誌名: Applied Physics Letters 巻: 110 ページ: 071905
  • DOI: http://dx.doi.org/10.1063/1.4976541
  • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Grain growth of ε-iron: Implications to grain size and its evolution in the Earth's inner core (2017)
  • 著者名/発表者名: D Yamazaki, N Tsujino, A Yoneda, E Ito, T Yoshino, Y Tange, Y Higo
  • 雑誌名: Earth and Planetary Science Letters 巻: 459 ページ: 238-243
  • DOI: https://doi.org/10.1016/j.epsl.2016.11.049
  • 査読あり
• [雑誌論文] Coherent X-ray beam metrology using 2D high-resolution Fresnel-diffraction analysis (2017)
  • 著者名/発表者名: M Ruiz-Lopez, A Faenov, T Pikuz, N Ozaki, A Mitrofanov, B Albertazzi, N Hartley, T Matsuoka, Y Ochante, Y Tange, T Yabuuchi, T Habara, KA Tanaka, Y Inubushi, M Yabashi, M Nishikino, T Kawachi, S Pikuz, T Ishikawa, R Kodama, D Bleiner
  • 雑誌名: Journal of Synchrotron Radiation 巻: 24 ページ: 196-204
  • DOI: https://doi.org/10.1107/S1600577516016568
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Short-period cyclic loading system for in situ X-ray observation of anelastic properties at high pressure (2016)
  • 著者名/発表者名: T Yoshino, D Yamazaki, Y Tange, Y Higo
  • 雑誌名: Review of Scientific Instruments 巻: 87 ページ: 105106
  • DOI: http://dx.doi.org/10.1063/1.4963747
  • 査読あり
• [雑誌論文] Indirect monitoring shot-to-shot shock waves strength reproducibility during pump-probe experiments (2016)
  • 著者名/発表者名: TA Pikuz, A Ya Faenov, N Ozaki, NJ Hartley, B Albertazzi, T Matsuoka, K Takahashi, H Habara, Y Tange et al.
  • 雑誌名: Journal of Applied Physics 巻: 120 ページ: 035901
  • DOI: http://dx.doi.org/10.1063/1.4958796
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Determination of pressure effect on thermocouple electromotive force using multi-anvil apparatus (2016)
  • 著者名/発表者名: Y Nishihara, K Fuke, Y Tange, Y Higo
  • 雑誌名: High Pressure Research 巻: 36 ページ: 121-139
  • DOI: http://dx.doi.org/10.1080/08957959.2016.1169275
  • 査読あり
• [雑誌論文] Pressure generation to 50 GPa in Kawai-type multianvil apparatus using newly developed tungsten carbide anvils (2016)
  • 著者名/発表者名: T Kunimoto, T Irifune, Y Tange, K Wada
  • 雑誌名: High Pressure Research 巻: 36 ページ: 97-104
  • DOI: http://dx.doi.org/10.1080/08957959.2016.1148149
  • 査読あり
• [学会発表] In situ XRD observation of anomalous elastic response of quartz by XFEL (2016)
  • 著者名/発表者名: T Sato, T Sekine, Y Tange, N Ozaki, T Matsuoka, H Habara, T Yabuuchi, K Tanaka, T Ogawa, R Kodama, T Okuchi, Y Seto, Y Inubushi, T Togashi, M Yabashi
  • 学会等名: 31st International Congress on High-Speed Imaging and Photonics (ICHSIP-31)
  • 発表場所: Osaka, Japan
  • 年月日: 2016-11-07 – 2016-11-10
  • 国際学会
• [学会発表] XFELで見る動的超高圧下の物質変形・相転移 (2016)
  • 著者名/発表者名: 尾崎典雅, B. Albertazzi, 松岡健之, N. Hartley, A. Faenov, G. Morard, 羽原英明, M. Harmand, 犬伏雄一, 石川哲也, 片山哲夫, M. Koenig, A. Krygier, 松山智至, E. McBride, 宮西宏併, 奥地拓生, T. Pinkuz, 佐藤友子, 坂田修身, 瀬戸雄介, 関根利守, 田中和夫, 高橋謙次郎, 丹下慶範ほか
  • 学会等名: 第57回高圧討論会
  • 発表場所: 茨城県つくば市
  • 年月日: 2016-10-26 – 2016-10-29
• [学会発表] X線自由電子レーザーを用いた衝撃波伝播過程の時分割その場観察 (2016)
  • 著者名/発表者名: 丹下慶範, 瀬戸雄介, 尾崎典雅, 奥地拓生, 宮西宏併, N. Hartey, 梅田悠平, 西川豊人, R. Ochante, 松岡健之, 高橋謙次郎, 松山智至, 山内和人, 佐藤友子, 関根利守, 田中和夫, 兒玉了祐, 籔内俊毅, 犬伏雄一, 矢橋牧名
  • 学会等名: 第57回高圧討論会
  • 発表場所: 茨城県つくば市
  • 年月日: 2016-10-26 – 2016-10-29
• [学会発表] 一軸圧力負荷下における単結晶ゲルマニウムの構造相転移 (2016)
  • 著者名/発表者名: 宮西宏併, 尾崎典雅, 松岡健之, 瀬戸雄介, 丹下慶範ほか
  • 学会等名: 第57回高圧討論会
  • 発表場所: 茨城県つくば市
  • 年月日: 2016-10-26 – 2016-10-29
• [学会発表] 層状鉱物のショック圧縮下でのXFELでの構造変化の観察 (2016)
  • 著者名/発表者名: 関根利守, 梅田悠平, 佐藤友子, 尾崎典雅, 兒玉了祐, 田中和夫, 松岡健之, 丹下慶範, 瀬戸雄介, 犬伏雄一, 富樫格, 籔内俊毅
  • 学会等名: 第57回高圧討論会
  • 発表場所: 茨城県つくば市
  • 年月日: 2016-10-26 – 2016-10-29
• [学会発表] フォルステライト単結晶のレーザー衝撃圧縮XFEL時間分解観察 (2016)
  • 著者名/発表者名: 奥地拓生, 尾崎典雅, 瀬戸雄介, 丹下慶範, 関根利守, N. Purevjav, 梅田悠平, 松岡健之, 高橋謙次郎, 宮西宏併, 犬伏雄一, 矢橋牧名, 山内和人, 田中和夫, 兒玉了祐
  • 学会等名: 第57回高圧討論会
  • 発表場所: 茨城県つくば市
  • 年月日: 2016-10-26 – 2016-10-29
• [学会発表] 高圧下におけるAlに富むブリッジマナイトの弾性波速度 (2016)
  • 著者名/発表者名: 井上徹, S. Greaux, 野田昌道, 柿澤翔, 肥後祐司, 丹下慶範
  • 学会等名: 第57回高圧討論会
  • 発表場所: 茨城県つくば市
  • 年月日: 2016-10-26 – 2016-10-29
• [学会発表] 稍深発地震は剪断集中帯における断熱不安定によって起きる (2016)
  • 著者名/発表者名: 大内智博, 雷興林, 大藤弘明, 肥後祐司, 丹下慶範, 境毅, 藤野清志, 入舩徹男
  • 学会等名: 第57回高圧討論会
  • 発表場所: 茨城県つくば市
  • 年月日: 2016-10-26 – 2016-10-29
• [学会発表] 低温高圧下におけるringwooditeの塑性変形強度 (2016)
  • 著者名/発表者名: 今村公裕, 久保友明, 加藤工, 亀卦川卓美, 肥後祐司, 丹下慶範
  • 学会等名: 第57回高圧討論会
  • 発表場所: 茨城県つくば市
  • 年月日: 2016-10-26 – 2016-10-29
• [学会発表] 西原遊, 丹下慶範, 肥後祐司 (2016)
  • 著者名/発表者名: マルチアンビル装置を用いた熱電対熱起電力の圧力効果の測定
  • 学会等名: 第57回高圧討論会
  • 発表場所: 茨城県つくば市
  • 年月日: 2016-10-26 – 2016-10-29
• [学会発表] パワーレーザーとXFELによるレーザー衝撃圧縮ダイナミクスのその場観測実験装置の開発 (2016)
  • 著者名/発表者名: 高橋謙次郎, 尾崎典雅, 松岡健之, 末田敬一, 宮西宏併, N. Hartley, B. Albertazzi, 羽原英明, A. Faenov, T. Pinkuz, 藤本陽平, M. Harmand, 硲崚, 池上温史, 犬伏雄一, 松村祐介, 松山智至, G. Morard, 西川豊人, 野間澄人, R. Ochante, 奥地拓生, 大月崇史, 坂田修身, 佐藤友子, 関根利守, 瀬戸雄介, 丹下慶範ほか
  • 学会等名: 第57回高圧討論会
  • 発表場所: 茨城県つくば市
  • 年月日: 2016-10-26 – 2016-10-29
• [学会発表] Walker module高圧装置立ち上げと希土類ホウ化物の物性 (2016)
  • 著者名/発表者名: 伊賀文俊, 菊池翔弥, 植松直之, 羽賀浩人, 横道啓省, 平野航, 西山宣正, 新名亨, 西真之, 國本健広, 入舩徹男, 丹下慶範, 近藤晃弘, 金道浩一, 小山内湧人, 山中昭司
  • 学会等名: 第57回高圧討論会
  • 発表場所: 茨城県つくば市
  • 年月日: 2016-10-26 – 2016-10-29
• [学会発表] SPring-8の高圧ビームラインの現状と将来展望 (2016)
  • 著者名/発表者名: 大石泰生, 平尾直久, 肥後祐司, 丹下慶範, 河口沙織
  • 学会等名: 第57回高圧討論会
  • 発表場所: 茨城県つくば市
  • 年月日: 2016-10-26 – 2016-10-29
• [学会発表] 斜長石から準安定なLinguniteが生成する温度ー圧力ー時間条件の制約 (2016)
  • 著者名/発表者名: 久保友明, 河野真利, 今村公裕, 加藤工, 亀卦川卓美, 肥後祐司, 丹下慶範
  • 学会等名: 第57回高圧討論会
  • 発表場所: 茨城県つくば市
  • 年月日: 2016-10-26 – 2016-10-29
• [学会発表] Alに富む無水及び含水ブリッジマナイトの弾性波速度測定 (2016)
  • 著者名/発表者名: 井上徹, Greaux Steeve, 野田昌道, 柿澤翔, 肥後祐司, 丹下慶範
  • 学会等名: 日本鉱物科学会2016年年会
  • 発表場所: 石川県金沢市
  • 年月日: 2016-09-23 – 2016-09-25
• [学会発表] 高圧下におけるアンチゴライトの強度と剪断不安定化 (2016)
  • 著者名/発表者名: 久保友明, 岩里拓弥, 肥後祐司, 吉田雄祐, 今村公裕, 加藤工, 上原誠一郎, 丹下慶範
  • 学会等名: 日本鉱物科学会2016年年会
  • 発表場所: 石川県金沢市
  • 年月日: 2016-09-23 – 2016-09-25
• [学会発表] Compressibility of Al-bearing hydrous bridgmanite (2016)
  • 著者名/発表者名: S. Kakizawa, T. Inoue, M. Nishi, M. Tange, Y. Higo
  • 学会等名: 日本地球惑星科学連合連合大会2016年大会
  • 発表場所: 千葉県千葉市
  • 年月日: 2016-05-22 – 2016-05-26
• [学会発表] New tungsten carbide anvils potentially important for melting experiments under lower mantle conditions (2016)
  • 著者名/発表者名: T. Irifune, T. Kunimoto, Y. Tange, K. Wada
  • 学会等名: 日本地球惑星科学連合連合大会2016年大会
  • 発表場所: 千葉県千葉市
  • 年月日: 2016-05-22 – 2016-05-26
• [学会発表] Semibrittle flow of olivine aggregates under the conditions of subducting slab (2016)
  • 著者名/発表者名: T Ohuchi, X Lei, Y Higo, Y Tange, T Irifune
  • 学会等名: 日本地球惑星科学連合連合大会2016年大会
  • 発表場所: 千葉県千葉市
  • 年月日: 2016-05-22 – 2016-05-26
• [学会発表] 上部マントルの温度圧力条件下におけるアコースティックエミッション測定に関する技術開発 (2016)
  • 著者名/発表者名: 大内 智博, 雷興林, 肥後祐司, 丹下慶範, 入舩徹男
  • 学会等名: 日本地球惑星科学連合連合大会2016年大会
  • 発表場所: 千葉県千葉市
  • 年月日: 2016-05-22 – 2016-05-26
• [学会発表] In-situ X-ray diffraction studies of hydrous phases up to ~60 GPa (2016)
  • 著者名/発表者名: M Nishi, T Irifune, J Tsuchiya, T Arimoto, S Kakizawa, Y Tange
  • 学会等名: 日本地球惑星科学連合連合大会2016年大会
  • 発表場所: 千葉県千葉市
  • 年月日: 2016-05-22 – 2016-05-26
  • 招待講演
• [備考] 公益財団法人 高輝度光科学研究センター (JASRI/SPring-8) 利用研究促進部門
  • URL: http://rud.spring8.or.jp/member/0008306.html
• [備考] Yoshinori Tange's Site
  • URL: https://sites.google.com/site/yoshinoritange/