研究課題/領域番号 |
25708003
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
石崎 章仁 分子科学研究所, 協奏分子システム研究センター, 特任准教授 (60636207)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 光合成光捕集 / 量子動力学 / エネルギー移動 / 電荷分離 |
研究概要 |
本プロジェクトは、緑色植物などの光合成光捕集系における電子エネルギー移動ダイナミクスとその制御、反応中心における初期電荷分離の機構の研究に取り組んでいる。 緑色植物や藍色細菌の光化学系II反応中心における初期電荷分離は、スペシャル・ペアの隣にあるアクセサリ・クロロフィルから数百フェムト秒~1ピコ秒の時間スケールで起こることが実験的に示唆されており論争が続いている。本年度は、凝縮相量子ダイナミクスの視点から示唆されている超高速光誘起電子移動反応の可能性やその物理的原因を解析した。 タンパク質の運動が色素分子の電子状態に及ぼす揺らぎ・タンパク質の再配置過程の時間スケールと色素の電子励起の量子力学的非局在化との競合が反応の様態(断熱的または非断熱的)を変化させること、その結果として光誘起電子移動反応系の電子供与体と電子受容体との結合が数十cm-1程度である典型的な状況においてでさえ数百フェムト秒の時間スケールの高速電荷分離が実現し得ることを理論的に示した。また、電子状態の揺らぎ・再配置過程の時間スケールが比較的遅い場合には、アクティベーションレスなケースだけでなく逆転領域に於いてもマーカスの電子移動反応理論では見られない温度依存性の逆転すなわち低温における加速が起こり得ることを見出した。 本プロジェクトに関係した結果に関して平成25年度にアメリカ、ドイツ、シンガポール、日本において9件の招待講演の機会を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光捕集系における電子エネルギー移動ダイナミクスとその制御を理解する上で電子エネルギーの到着地である反応中心における初期電荷分離のメカニズムの解明も重要な課題であるが、この点に関して従来の研究結果では議論されなかった現象・論点を提示できた事は大きな収穫であった。
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今後の研究の推進方策 |
電子エネルギー移動・電荷分離ダイナミクスとその制御を議論する上で、これまでは周辺環境が誘起する自発的な熱揺らぎとそのダイナミクスへの影響を中心に解析を行ってきたが、次年度はタンパク質の構造揺らぎ・変化に着目した制御の解析に重心を移したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
申請していた内訳の人件費・謝金を用いて、2年目3年目に博士研究員を雇用するため。 2年目3年目に博士研究員を1名雇用する。
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