窒素固定(N2 + 6H+ + 6e- → 2NH3)や酸素発生(2H2O → O2 + 4H+ + 4e-)などの多電子酸化還元を担う生体酵素の活性中心には、複数の金属イオンが小空間に精密に集約・配置された多核金属錯体が含まれている(窒素固定:Fe7Mo八核錯体、酸素発生:Mn4Ca五核錯体)。本研究では、新規な多核金属錯体の合成を行い、その電気化学的挙動ならびに多電子酸化還元反応に対する触媒能を調査した。その結果、(1)オキソ架橋ルテニウム二核錯体における異なる3つの酸化状態の構造および電子状態の解明、ならびに(2)鉄五核錯体を用いた高活性な酸素発生触媒の開発に成功した。
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