研究課題
これまでの研究で、ジチエノチオフェン誘導体が自己組織的にマイクロリボン構造体を形成し、効率的な電荷輸送パスとして機能することを明らかにしてきた。今年度の研究において、類似のπ拡張チエノアセン化合物を新規に設計・合成し、溶液プロセスを用いた有機単結晶トランジスタおよび有機薄膜トランジスタの作製、電荷輸送特性の評価を行った。その結果、溶液プロセスにより作製した単結晶トランジスタにおいて、10.1 cm2/Vsの高いホール移動度を観測し、オン・オフ電流比は、10^5であり良好なp型トランジスタ特性を示した。次に、本材料を用いてディップコート法による結晶薄膜の作製と、これを活性層に用いた薄膜トランジスタの作製・評価を試みた。Spring-8を用いた微小入射角X線回折(GIXD)法等により、結晶薄膜中における分子配向性について評価したところ、分子長軸が基板に対して完全に垂直な状態で自己組織的に配列していること、さらに基板引揚方向に対して結晶b軸が水平となった異方的ヘリンボーンパッキング構造を形成していることが明らかとなった。その結果、結晶薄膜を用いた有機トランジスタにおいて、引揚水平方向のホール移動度は、7.3 cm2/Vsに達し、引揚垂直方向と比較して約10倍の電荷輸送の異方性が観測された。本研究を通して、特異的な分子集積構造を自発的に形成することで高速電荷輸送特性を発現する有機半導体材料および有機トランジスタの開発に成功した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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