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2013 年度 実績報告書

自己組織化ナノポーラス金属の排ガス触媒への展開

研究課題

研究課題/領域番号 25708036
研究機関東北大学

研究代表者

藤田 武志  東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 准教授 (90363382)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード多孔質金属 / 触媒 / CO酸化 / NO還元
研究概要

腐食中の自己組織化によって生成するナノポーラス金属には、従来のナノ粒子触媒の欠点を払拭した新しい触媒としての可能性が、最近の申請者の研究によって示された(T. Fujita et al. Nature Materials 11 (2012) 775)。本研究の目的は、金属科学・電気化学に基づいて学理を構築し、ナノポーラス金属をより実用的で革新的な触媒へと発展させることである。
ナノポーラス触媒として代表的なナノポーラスAuがある。この触媒は、室温でCO浄化反応であるCO酸化反応(CO+1/2O2→CO2)が起こる有望な触媒であるが、反応時間にともなって、組織が粗大化して劣化していく。また、残留Agが反応中に表面一部に凝集していることも明らかとなった。したがって、構造の粗大化やAgの凝集が触媒の劣化に繋がる主原因であることはわかるが、実際どのような過程で粗大化していくのかは明らかではなかった。
そこで、ガス環境セルを備えた独自の超高圧電子顕微鏡を用いることで、CO酸化反応が起こっているその場を原子レベルで観察した。この詳細な観察のなかで、1,表面拡散をともなって粗大化が起こっていること、2、面欠陥として知られる双晶がそのピン留めに有効に作用することが分かった。具体的には、双晶の3重点でピン留めされ、これがなくなると表面拡散がすばやく引き起こされた。双晶がない所はこのようなピンニング効果は観察されなかった。本結果は、ナノポーラス触媒の劣化過程を原子レベルで初めて明らかにした結果であり、また、結晶欠陥によるピン留め効果は、ナノポーラス触媒だけでなく不均一系触媒全般に適用できる重要な材料設計指針になった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ナノポーラスAuだけでなく、他の合金系も計画通りに進んでおり、実験のセットアップも完了しているので。

今後の研究の推進方策

熱処理中のナノポーラスAuの粗大化過程の電子顕微鏡によるその場観察や貴金属を含まない合金系のNO還元触媒評価の実施などを行う予定である。

次年度の研究費の使用計画

排ガス分析装置を再度考慮し、より汎用性のある分析システムに変更したが、当初の分析装置より安価に手に入れることができたため。
触媒特性で良い結果が得られており、その触媒の大量生産を目指すため、その材料費や合成・製造装置に使用する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件) 図書 (2件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Atomic Observation of Catalysis-Induced Nanopore Coarsening of Nanoporous Gold2014

    • 著者名/発表者名
      T. Fujita, T. Tokunaga, L. Zhang, D. W. Li, L. Y. Chen, S. Arai, Y. Yamamoto, A. Hirata, N. Tanaka, Y. Ding, M. W. Chen
    • 雑誌名

      Nano Letters

      巻: 14 ページ: 1172-1177

    • DOI

      10.1021/nl403895s

    • 査読あり
  • [学会発表] Catalytic origins of nanoporous gold2013

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Fujita
    • 学会等名
      International Symposium on EcoTopia Science 2013 (ISETS ’13)
    • 発表場所
      名古屋市、名古屋大学
    • 年月日
      20131212-20131215
    • 招待講演
  • [学会発表] 電子顕微鏡法によるナノポーラス金属表面触媒反応機構の解明2013

    • 著者名/発表者名
      藤田 武志
    • 学会等名
      2013 年真空・表面科学合同講演会
    • 発表場所
      つくば市、つくば国際会議場
    • 年月日
      20131126-20131128
    • 招待講演
  • [学会発表] ナノポーラス金のCO酸化反応におけるその場電子顕微鏡観察2013

    • 著者名/発表者名
      藤田 武志, 陳 明偉, 徳永 智春, 山本 悠大, 荒木 重勇, 田中 信夫
    • 学会等名
      第153回日本金属学会秋期大会
    • 発表場所
      金沢市、金沢大学角間キャンパス
    • 年月日
      20130917-20130919
  • [学会発表] In-situ observation of nanoporous gold catalyst2013

    • 著者名/発表者名
      藤田 武志
    • 学会等名
      日本顕微鏡学会第69回学術講演会
    • 発表場所
      大阪府吹田市、ホテル阪急エキスポパーク
    • 年月日
      20130520-20130522
    • 招待講演
  • [図書] 触媒の設計・反応制御事例集2013

    • 著者名/発表者名
      藤田 武志 他
    • 総ページ数
      827(162-166)
    • 出版者
      技術情報協会
  • [図書] 次世代蓄電池の【最新】材料技術と性能評価2013

    • 著者名/発表者名
      藤田 武志 他
    • 総ページ数
      829(428-432)
    • 出版者
      技術情報協会
  • [産業財産権] 多孔質ニッケル合金化合物及び触媒2013

    • 発明者名
      藤田 武志、陳 明偉、阿部 英樹、田邊 豊和
    • 権利者名
      東北大学、物質・材料研究機構
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2013-224722
    • 出願年月日
      2013-10-29

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公開日: 2015-05-28  

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