研究課題/領域番号 |
25709005
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
小貫 哲平 茨城大学, 工学部, 准教授 (70400447)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 測定精度 / 分光イメージング / 表面性状 / 近赤外分光 / 低コヒーレント干渉 |
研究実績の概要 |
【研究計画】 ウェハ脱着搬送不要オンマシン計測、を可能とする技術研究を推進し、本方式による(a) 厚さ計測範囲0.1 μ m ‐100 μ m、 厚さ変動計測精度10nm以内、(b) Φ 300mmエリア一括計測、及び(c) 加工機上計測、を実現させる。平成25年度において(a)と(c)の目標達成の目途がついた。以後は(b)エリア一括計測に加えて、(a')測定精度保証技術と(a")厚さ計測範囲の拡張、の研究に重点を置いた。 【実績】 平成26年度の研究進展を述べる。【課題(b)分光イメージングによるエリア厚さ計測】視野60㎜角未満など限定的な条件であるが分光イメージングによる厚さ計測を達成した。ウェハ全面計測のための結像光学系の最適化を図りながらInGaAsカメラ、分光器、などの選定購入を行い、大口径ウェハ用の全面厚さ計測システムの構築を進めた。【課題(a')測定精度保証技術】仕上げ前のウェハ加工面が持つ平坦度や表面粗さなどの表面性状の条件が厚さ計測に及ぼす影響について調査を行った。試験片をラップシートを用いた手研磨で砥粒番手と研磨回数を条件として任意表面状態を得られるようにして、表面と裏面の表面性状を独立に制御された試料を準備して、本研究で開発した厚さ計測装置で測定を行った。表面粗さの厚さ計測の影響についてBeckmannモデルなどによる簡単な解析結果と定量的に良く一致する傾向が確認され、Ra100nm以下の粗さは直接的に測定精度に影響しないことを確認した。一方、平坦度は厚さ計測に影響する恐れがある事がわかり、今後その程度を定量的に調べていく。【課題(a")厚さ計測範囲の拡張】光学計測条件と厚さ計測範囲と厚さ測定精度の関係について原理的な検討を行い、一桁以上の拡張を達成した。以上の成果を学会発表1報、ワークショップ発表1報、国際会議論文2報、学術論文1報として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究計画に挙げられた3課題のうち、【(a) 厚さ計測範囲0.1 μ m ‐100 μ m、 厚さ変動計測確度10nm以内】は100%、【(b) Φ 300mmエリア一括計測】の60%、及び【(c) 加工機上計測】について90%が達成され、次年度でいずれの課題も完了する目途が立った。今後は(b)の達成に重点を置き、更に加えて(a')測定精度保証技術と、(a'')厚さ計測範囲の拡張、および(d)サファイアウェハやタンタル酸リチウムウェハなど多様な材料への対応、に関する研究まで視野に入れており、研究計画立案当初以上の成果の達成も見込める状況である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる平成27年度は、まず【課題(b) Φ 300mmエリア一括計測】を達成するために広域計測用テレセントリックレンズを導入した前分光方式の厚さ計測システムを構築して本研究の当初計画の達成を目指す。更に加えて【(a')測定精度保証】のための標準試料を用いた校正技術の確立と波面センサを用いた表面形状計測を導入する。【(a'')厚さ計測範囲の拡張】測定精度を犠牲にせずに厚さ計測範囲を0.1 μ m ‐1000 μ mと従来の10倍とする技術確立を行う。【(d)サファイアウェハやタンタル酸リチウムウェハなど多様な材料への対応】も行う。 特に、論文投稿を主とした成果発表と技術移転など実用化に向けた活動に力を入れていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究計画で購入予定の備品(波面センサ、可変鏡、空間位相変調器、テレセントリックレンズ)の選定を慎重に行ってきたため、また、金額的にも不足だったため、平成27年度での導入とした。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度支給予定の予算と合わせて、波面センサ、可変鏡、空間位相変調器、テレセントリックレンズなどの備品購入に充てる。
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