最終年度の今年度は提案時の計画どおり以下3項目の研究を推進した。 1.イメージング計測によるウェハ厚さ分布計測技術開発 InGaAs素子近赤外線カメラを用いた前分光式の分光イメージング機構を構成した。広域のファブリペロー干渉画像取得のため大口径テレセントリックレンズを用いた測定構成を構築した。本装置等を用いてイメージング厚さ計測の実演を行った。その結果、エアギャップの干渉縞計測や、数センチ角の領域の厚さイメージング計測に成功した。一方で、照明の開発において、開発した可変単色照明の単色性と照度が不足など課題が解決できず今年度中で大口径ウェハの全面計測の達成には至ることができなかった。そこで予算の制限から現行方式から代替え方式の検討に切り替えて検討を行った。ステージスキャンによる厚さイメージングによって機上全面計測の実現目途がついた。また波面計測による表面形状の計測法の検討も行った。 2.測定条件の最適化 先進半導体デバイス製造におけるウェハ薄化工程で必要な測定のための要求仕様(厚さ範囲、計測精度、表面粗さの影響を受け難い)に対応させるために、測定原理に基づく最適な分光測定条件を求め、光通信用の光スペクトラムアナライザを導入した測定装置を構築して最適な分光測定条件の計測を実現させた。平坦度、厚さ精度、表面性状が制御された標準試料に対する測定実験からその有用性を実証した。 3.測定精度保証 標準試料を用いた厚さ測定実験から、理想的な測定条件下での測定精度を調べ、要求仕様級の測定精度限界を確認した。測定光学系のアライメントエラー(測定条件に起因)や、ウェハ表面性状(加工条件に起因)が厚さ測定精度に及ぼす影響をコンピュータシミュレーションから調べる手法を開発した。多種および複合した誤差要因条件について測定精度に及ぼす影響を定量的に調べ、保証される測定精度を予測した。
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