平成27年度では,i)McKibben型空気圧ゴム人工筋(PAM)駆動装置の試作機を制作し,それらの数理モデルと妥当性検証,ii)モデルパラメータの推定法,iii)収縮率の推定法,そして,iv)モデル予測制御の適用に係る計測制御技術に係る成果及び知見が得られた. I) PAMの数理モデルに関しては,おもりをぶら下げてPAMが収縮伸張する状態を想定したハイブリッドモデル(入力:バルブへの指令電圧,出力:PAMの収縮率と内圧),また,PAMの両端を固定(収縮率を固定)したときのハイブリッドモデル(入力:バルブへの指令電圧,出力:内圧)を導出し,実機から得られる過渡応答および定常応答との比較から,モデルが妥当な応答を生成することを確認した. ii) PAMのモデル構造を特定したことから,モデルの未知パラメータを Particle Swarm Optimization を用いた推定アルゴリズムを構成した.これにより,パラメータの値から,PAMの製品種別を分類することが可能となり,実際,サポートベクターマシンを用いて多くのパラメータの推定値データから分類できることを示した. iii) 収縮率を非線形カルマンフィルタにより推定し,システムの軽量化に成功した.試作機では,レーザーセンサで収縮率を計測していたが,我々のモデルを用いた Unscented Kalman Filter により,実寸値との誤差が約 2% 程度で推定できることを示した.また,パラメータの同時推定に応用することで,リアルタイムで未知パラメータが推定できることも確認済みである. iv) 提案モデル及び実機を用いてモデル予測制御を検討した.非線形ハイブリッドシステムを対象とする数値最適化にかかる計算負荷を具体的に確認した.今後の実装に向けて,リアルタイム性を満たす程度の計算量となるようにモデルを近似する必要があることがわかった.
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