研究課題/領域番号 |
25709019
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
橋本 健二 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (10449340)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ロボティクス / ヒューマノイド / 2足走行 / 走行運動解析 / 走行運動制御 / 剛性可変機構 |
研究実績の概要 |
本研究課題では,人体運動を模擬した“歩行運動”と“走行運動”が可能な2足スプリント・ロボットを開発することを目的としている.平成26年度は,下記3点について研究を推進した. 1.腰部関節の強度強化:平成25年度に開発したロボットの股関節間距離は220mmと人間より20%大きいことから骨盤関節の負荷が大きくなる問題があった.また高負荷な実験下で,骨盤Roll軸・股関節Roll軸の減速機の強度不足が明らかになった.そこで,成人女性の平均寸法を参考に股関節間の目標距離を170±10mmに設定し,減速機の強度不足については安全率を大きくとることとした.実際に設計した骨盤の股関節間距離は180mmで,骨盤Roll軸と股関節Roll軸の最大許容トルクの安全率がそれぞれ4.4と3.6になるように減速機を選定し,腰部関節の強度を強化した. 2.膝関節の能動化:平成25年度の機体は,膝関節・足関節ともに受動要素のみで構成されていたため,能動的に脚部を屈伸できなかった.そこで,能動的に屈伸でき,跳躍・走行時の衝撃にも耐えられる新型脚部を開発した.具体的には,膝関節機構にはウォームギアを用い,膝関節にかかるトルク210Nmをセルフロック機能で受ける構造にした.製作した脚部を用いて遊脚側の膝関節を高速に屈伸する実験を行い,80rpmの角速度で屈伸できることを確認した. 3.着地時間推定による共振運動制御:前年度までに,骨盤を揺動させて脚部の弾性要素を共振させることで跳躍運動を実現してきたが,骨盤の正弦運動と重心の振動の位相差が適切な値からずれることで,跳躍高さが減少するという問題点があった.そこで,離地時の重心の速度から次の着地時間を推定することにより,着地時の前額面における骨盤角度が一定となるように制御することで,跳躍高さが減少することなく連続して跳躍できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,人間と同じような多関節脚(足関節,膝関節,股関節,骨盤)を持つ下半身ロボットを開発し,連続跳躍を実現させるための制御も考案した.さらに,実機での連続跳躍運動も実現できたため,順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
ロボットを拘束しない状態での走行運動実現に向け,ハードウェアと安定化制御を開発する.平成26年度までに開発したハードウェアは,足関節にPitch軸の1自由度しか持っていないため,Roll軸も加え2自由度に改良する.また,受動関節であるため,足関節の能動化を図るとともに弾性要素も付加する.さらに,三次元空間での走行運動の実現を目指し,新たに上半身を開発するとともに,下肢の動きによって発生するYaw軸モーメントを上半身によってキャンセルする姿勢安定化制御も開発する.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は積極的に国際会議などで発表を行ったため,旅費の占める割合が増えたが,物品費が当初計上していた金額よりも少なくなった.当初は足部に市販のスポーツ義足を使用予定であったが,申請時より研究費が減額されたことで購入が難しくなり,申請者がハードウェアを設計・製作したため,物品費を安く抑えることができた.
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は上半身を新規に開発するため,前年度未使用額も使用して開発する.また,平成26年度と同じく,国際会議などで積極的に成果を発表するため,そのために必要な旅費に使用する.
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