研究課題
対象とするギアムシアックチル・ブキットバトゥバイオスフィアリザーブは,中央に自然林保護区コアゾーン(17.9 万ha)が,その自然林コアゾーンを囲む林業企業が保有する緩衝ゾーン(22.2 万ha),更に外側を囲むように,住民によるオイルパーム植栽を中心とした遷移ゾーン(30.4 万ha)が存在する.2014年度より,住民が管理し,火災が頻発する遷移ゾーンにて水文フラックス観測を継続している.遷移ゾーンでは集落,ゴム林,アブラヤシプランテーション,水田,耕作放棄地が存在し,さらに大小様々な排水路が存在する.そこで集落に定点気象観測所を,プランテーション,水田,耕作放棄地に移動式気象観測所と水位計・土壌水分計を設置し,水文モニタリングを継続して行っている.2014年度と2015年度はインドネシアのリアウ州で,リアウ大学のチームとともに,10の集落を訪問し,地域住民によるさまざまな泥炭地利用の現状を調査記録するとともに,泥炭地利用に関する問題点を調査した.泥炭地が人為的攪乱(被伐採・被火災)を受ける前後の物質循環機構の変化を現地調査により明らかにした.さらには,火災前後で地下水質が大きく変化することが示唆された.また簡易なダムによって再湿地化が可能で,その再湿地化効果はすぐに表れることが実証された.再湿地化サイトでは在来樹種を用いた植林事業を実施した.泥炭火災,雨量,風向などを観測するためのレーダーをブンカリス県林業局に設置する手続きを進めるとともに,煙害(ヘイズ)に関する国際的研究チームを構成し,現地調査を開始した.
2: おおむね順調に進展している
2015年度は泥炭地が人為的攪乱(被伐採・被火災)を受ける前後の水循環過程を比較した.また簡易なダムによって再湿地化が可能で,その再湿地化効果はすぐに表れることが実証された.再湿地化サイトでは在来樹種を用いた植林事業を実施した.2014年度から開始している気象観測サイトでは,雨量,風向などの気象条件が泥炭火災と相関があることが分かったので,インドネシア気象庁の気象データを解析するとともに,気象レーダーの設置準備を進めている.
泥炭湿地の水循環をを理解し管理する上で重大な問題となる火災を防止するためには,より詳細な気象データを準リアルタイムで取得する必要がある.可能なシステムの構築を目指している.さらには,火災発生時に重大な影響を与える煙害(ヘイズ)に関して,日本とインドネシアを中心とする国際的研究チームを構成しつつあり,実用的な観測データの取得を行う.
インドネシア国で観測機器の受け入れにおいて予定していた現地協力者の協力が急遽得られなくなった.本研究遂行上,当該研究者の参画は不可欠なため,再度日程調整を行った.
現地協力者の協力を得て,平成27年度8月に観測機器の再設置を行う.
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 9件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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