鉄は、様々な水環境中において藻類の増殖や代謝を支配する因子であり、これまで鉄の化学動態や生物利用性に関する研究が進められてきた。しかし、室内実験を基礎とした既往研究では、腐植物質やその他の水質因子の影響は全く考慮されておらず、実環境中の環境・水質変動が藻類の鉄摂取に及ぼす影響は未だ明らかにされていなかった。本研究では、室内実験・培養系から得られた種々のキネティックデータを基に鉄の速度論モデルを構築した。自然水中に存在する腐植物質が存在する系では、暗条件下での還元により十分量の生物利用可能な第一鉄が生成されるため、藻類は暗条件でも十分に鉄を摂取可能であることが示された。
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