研究課題
本研究ではイオン・電子混合導電性材料に注目してその電子構造とイオン伝導特性の相関を計算及び実験から評価した。特に酸化物イオン導電性材料に対して評価を行っている。昨年度に引き続き課題とされたペロブスカイト型材料の酸素空孔の欠陥生成エネルギーを熱天秤解析(実験)と第一原理計算(計算)によって評価した。第一原理計算では従来より汎用的に用いられているGGA近似法にて2.8eVという結果が得られた。このような数値は、これまで広く引用されてきた他の研究グループによる計算結果と一致している。しかしながら、合わせて今年度実施した熱天秤による実験的測定結果によれば、酸素空孔生成エネルギーは1.2eV程度であり、極めて大きな計算=実験値の乖離が示唆された。そこで、本研究では電子局在効果を考慮したGGA+U計算を用いて酸素空孔の生成エネルギーを検討した。その結果、エネルギー値は最小1.2eV, 中央値は1.5eV程度となり実験値に対してよい一致を得ることが出来た。以上の知見をもとに偏最小二乗法による統計解析を実施し、空孔周辺のカチオン配列と空孔生成エネルギーの関係を調査した。GGA計算による解析結果は高い相関関係(相関係数0.9以上)を示したが、GGA+Uによる結果はほぼ相関がないという結果となった。この結果は、混合イオン・電子導電性材料においては、イオン配列以外の要因が欠陥生成に関与していることを示唆している。GGA+Uで見られる現象であることから、電子・ホールの配置自由度が関与していると考えられ、今後の研究指針を明らかにすることが出来た。これらの知識を応用し、イオン電子混合導電性材料表面および界面に対する第一原理計算による調査も実施した。その結果、表面や界面においては、酸素空孔生成エネルギーが表面イオン配列に強く依存しており、イオン導電性もイオン配列によっては非常に高くなることを見出した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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