研究概要 |
平成25年度は以下の2項目に関する研究開発を行った。 (1)超はっ水・超親水および低ヒステリシス表面形成技術の確立 ガラスやアルミナ表面への有機分子処理を実施し,低ヒステリシス表面の形成を行った。具体的には,分子構造の異なる2種類の分子を用いて,低ヒステリシス表面の形成を試みた。原料には,Bis((tridecafluoro-1,1,2,2,-tetrahydrooctyl)-dimethylsiloxy)methylsilane(フッ素系シラン分子)とCH3COO(CH2CH2O)n(CH2)3Si(CH3)(OSi(CH3)3)2(非フッ素系シラン分子)を用いた。処理温度は150~220℃,処理時間は24~72時間とした。熱CVD法により,フッ素系シラン分子の成膜を行った。作製した皮膜表面の静的接触角は90~100°になり,はっ水性を示した。また,その表面の接触角ヒステリシスは5~10.2°であった。また、サイズスケールの異なる構造を階層的に,かつ,デザインどおりに構築する技術の開発を行い、超はっ水表面形成技術を開発した具体的には,原料に1,3,5,7-Tetramethylcyclotetrasiloxaneを用いて,処理温度60~170℃,処理時間6~24時間の条件にて,熱CVD法によりはっ水表面の形成を行った処理温度の増加に伴い,表面粗さが増加すると共に接触角が向上し,150℃以上の温度で処理することで,超はっ水表面を作製した。 (2)モデル表面における吸着水の構造の解明 上述したモデル面における吸着水の構造を解明するために、ラマン分光やFT-IR分光法を用いて水の水素結合に関連する3000~3600 cm-1 のピークを中心に調査し,自由水と結合水に起因するピークを分離することに成功した。低ヒステリシス表面では,自由水に起因するピークが主成分であることを明らかにした。
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