研究課題
本研究ではプロトン溶解と局所構造の関係を明らかにするため遷移金属であるMnの価数変化に伴う還元膨張を利用した酸化物へのプロトン溶解について検討した。Mnを添加したCaZrO3においてESR測定を行った結果、酸素中ではMnイオンは3価で存在しており、水素中では2価となるとが明らかになった。さらに赤外線吸収スペクトル分析の結果より2価のMnイオンが存在する際にプロトンが溶解することがわかった。ZrサイトにMnを添加した際、3価のMnイオンはZrイオンよりもイオン半径は小さく、2価のMnイオンはZrイオンよりも大きくなる。Mnイオンが2価、3価の状態でもアクセプターとして機能するがMnが3価でZrサイトに置換している際はその周りの酸素八面体が収縮し、プロトンが溶解できないことが考えられる。すなわちMnが2価となり、Zrサイトに置換してその周りの酸素八面体を膨張させることで結晶内にプロトンが導入された考えられる。次にプロトン伝導体を用いた電気化学デバイスの分極特性を水素ポテンシャル分布解析およびプロトンと正孔電流の電圧依存性について検討した。800℃、燃料電池においては低電流密度ではわずかに正孔電流の影響を受けるが高電流密度ではプロトン電流に比べ正孔電流は無視できるほど小さいことがわかった。一方、電解セルではプロトン電流よりも正孔電流が支配的であることが明らかになった。BaCe0.8-xZrxY0.2O3-δ(BZCY)を電解質とした燃料電池を酸化物電極およびPt電極にて構成し出力特性、電極過電圧特性を調べた結果、Ce添加量の増加によって電極過電圧は低下し出力が向上することが明らかになった。また、BZCYを電解質とした燃料電池においてアノードにNiを用いると電解質へのNi固溶によりプロトンの脱離が生じ、出力が低下することが明らかになった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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