研究課題/領域番号 |
25709074
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 秀樹 京都大学, 工学研究科, 講師 (80376368)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 水素同位体分離 / CVD / 量子分子篩 / 分子シミュレーション |
研究概要 |
本研究では,「量子分子篩」による水素同位体分離に最適な極微細孔を有するゼオライト-炭素複合多孔体(ZCC)を創製し,高効率な重水素分離プロセスの設計を可能とすることを最終目的としている。すなわち,化学気相成長法により10-18員環といった中-大細孔を有するゼオライトの細孔内を熱分解炭素で被覆・修飾し,その細孔径を0.3 nmに制御することで高い重水素選択性を実現することを目指している。このため,以下の4項目を柱とする研究を開始した。I. ZCC合成シミュレーション:ZCCの合成・探索を効率的に行うために,ZCCの合成シミュレーション・分子モデリング手法を確立し,コンピュータシミュレーションによる大規模な「仮想実験」を行なう。II. 水素同位体混合吸着シミュレーション:量子分子篩の平衡論/速度論的理解を可能とするための分子シミュレーションコードの開発を行い,混合吸着等温線測定および破過曲線測定等の実験結果と比較・検討することで,ZCCの重水素分離特性を明らかとする。III. ZCC合成装置開発・ZCCキャラクタリゼーション,IV. 水素同位体吸着実験・装置開発。 H25年度は主に,炭素原子間相互作用としてreactive state summation(RSS)ポテンシャルを用いた分子動力学シミュレーションコードによって,約20種類のゼオライトを対象とするZCCの合成シミュレーションを行った。現在,得られた各ZCCモデルに対して量子効果を考慮した遷移状態理論を適用し,速度論的に高い重水素選択率を示すものの探索を行っている。さらに,FeynmanのPI法をグランドカノニカルモンテカルロ(GCMC)法に適用したPI-GCMCシミュレーションコードによって,平衡論に基づいた各ZCCモデルの重水素選択率の評価を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H25年度の実施計画に掲げた4項目(I. ZCC合成シミュレーション,II. 水素同位体混合吸着シミュレーション,III. ZCC合成装置開発・ZCCキャラクタリゼーション,IV. 水素同位体吸着実験・装置開発)の内,IおよびIIは上述の通り順調に研究を実施し,計画項目をほぼ達成している。しかし,IIIについては,遅れが生じている。項目IIIでは,化学気相成長法(CVD)によるZCC合成を行なうための装置製作を行なうこととし,その構成としては,管状炉,マスフローコントローラー,真空ポンプ,CVDガス種としては,アセチレンや種々の芳香族炭化水素を予定している。本装置はH25年度中に製作を完了し,ZCCの合成実験を開始することを予定していたが,装置設計に遅れが生じており,H26年度中の装置納入を予定している。このため,項目IVの実施にも遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
H25年度に引き続き,下記I-IVの実施を継続する。特に,遅れが生じているCVD装置の製作を優先し,H26年度後期までにサイクル(I→II→III→IV→I)を確立させる。このサイクルの確立によって,実験III,IVで得られたデータを分子シミュレーションIおよびIIにフィードバックし,シミュレーション精度の向上を図ることを可能とする。 I. ZCC合成シミュレーション:炭素原子間相互作用としてreactive state summation(RSS)ポテンシャルを用いたMDシミュレーションコードによって,数十種類のゼオライトを対象とするZCCの合成シミュレーションを行う。これにより,細孔径0.3 nmの極微細孔を有するサブナノ多孔体が創製されるような諸条件(ゼオライト種,有機分子種,反応温度等)の予測を行い,以下のIIIにおけるZCC合成実験の最適化をはかる。 II. 水素同位体混合吸着シミュレーション:FeynmanのPI法をGCMC法に適用したPI-GCMCシミュレーションコードによって,平衡論に基づいた各ZCCモデルの重水素選択率評価を行うと共に,リングポリマーMD(RP-MD)法に基づくシミュレーションコードを完成させ,速度論に基づいたZCCモデルの重水素分離特性評価を可能とする。 III. ZCC合成装置開発・ZCCキャラクタリゼーション:CVD装置を完成させ,ZCCの合成・キャラクタリゼーションを開始する。 IV. 水素同位体吸着実験・装置開発:実験IIIにより得られたZCCへのH2およびD2吸着等温線を開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
CVD装置の設計に遅れが生じ,H25年度中の装置納入をH26年度中に変更したため。 上述のCVD装置の制作費に充てる予定である。
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