研究課題/領域番号 |
25709075
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
百瀬 健 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10611163)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 超臨界 / 製膜 / 3次元実装 / Cu |
研究実績の概要 |
電子回路を実装した複数のシリコンチップを積み重ね電気的に接続する3次元実装技術が注目されており,同種チップの積層による配線距離の縮小や異種機能チップの組み合わせによる多機能化などが期待できる。技術課題はチップ間の電気的接続にあり,微細かつ深遠な孔内にCuを充填するTSV形成技術の確立が急務である。 本研究では,超臨界流体を用いた製膜技術を応用し,Cuおよび関連して必要となる絶縁膜,バリア層,密着層を1プロセスで一括形成する技術を構築する。本研究は,Cu原料,Mn原料,還元剤の同時供給がポイントであり,これらの供給量を独立に制御できる製膜装置が必要不可欠である。 昨年度の検討において各原料の超臨界流体中における溶解度データを取得したため,製膜条件の論理的な絞り込みが可能となった。一方で,実際に原料を供給する際には原料導入機構が必要であり,安定して原料を供給できる仕組みを構築した。また,原料供給時には原料を溶解した超臨界CO2と還元剤となるH2を混合する必要があるが,この時に体積変化が生じるため,供給時条件と製膜条件に差異が生じてしまうが,体積変化を定量的に把握し,この変化に対応できるようになった。以上を持って,装置作製およびその特性把握が可能となったことから,製膜による検討に移った。Cuの製膜では,目標とするフロー式製膜において,実績豊富なバッチ式製膜と異なる初期核発生挙動が確認されたが,原料の余熱条件を最適化することによりこれを克服した。また,昨年度取得した溶解度データを基に製膜条件と埋め込み性の関係を検討し,超高アスペクト比構造への製膜を可能とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き,フロー式製膜装置の実現に向けた基礎データの取得に努めた結果,安定した原料供給および製膜検討が可能となった。得られた装置を使用し,製膜検討を進めており,当初計画通りに推移している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた基礎データおよびフロー式製膜装置を使用し,製膜検討を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究進展上必要となる物品の納品などのタイミングによるものである。なお,このことは次年度使用額が研究予算総額の5%程度と少額であることもご理解いただけると理解している。
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次年度使用額の使用計画 |
上記のように,納品のタイミングが前後したために生じたものであり,使用計画に変更は必要としない。
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