電子回路を実装した複数のシリコンチップを積み重ね電気的に接続する3次元実装技術が注目されており,同種チップの積層による配線距離の縮小や異種機能チップの組み合わせによる多機能化などが期待できる。技術課題はチップ間の電気的接続にあり,微細かつ深遠な孔内にCuを充填するTSV形成技術の確立が急務である。 本研究では,超臨界流体を用いた製膜技術(SCFD)を応用し,Cuおよび関連して必要となる絶縁膜,バリア層,密着層を1プロセスで一括形成する技術を構築する。本開発はCu原料,Mn原料,還元剤の同時供給がポイントであり,これらの供給量を独自に制御できる製膜装置が必要不可欠である。 上記には絶縁性下地の上に導電性材料を堆積する過程を含んでいるが,SCFDでは下地の前処理が必要となるなど絶縁性下地へ導電性材料を1プロセスで直接形成することは困難とされてきた。極一部の研究グループは直接形成も可能と報告しているものの,他グループでは再現できず見解に相違があった。そのため,反応器内の基板の設置位置,反応器内の温度制御,原料の予熱など製膜装置及び製膜条件をさまざまに変化させた検討を行い,直接形成のメカニズムを解明し,論理的に直接製膜を可能とする装置系,条件を明らかにした。
|