研究課題/領域番号 |
25709078
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
前田 和彦 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (40549234)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 光触媒 / ナノ粒子 / 水の分解 / 水素製造 / 人工光合成 |
研究実績の概要 |
本研究では、半導体粉末上に2種の金属成分を含むナノ粒子を光化学的に析出させたコンポジット材料を調製し、未だ解明されていない(1)複合金属成分ナノ粒子の光化学的合成に関する基礎的知見の取得、(2)水素/酸素生成光触媒としての応用、(3)走査型プローブ顕微鏡を用いたコンポジットの電荷分離状態の直接観察を目的としている。 当グループでは、以前にロジウムとクロムを組み合わせた助触媒を種々の半導体光触媒上へ同時析出法によって担持させることに成功している。本年度は、固相法で調製したチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)を半導体光触媒として、Crとの同時光析出を可能とする遷移金属種の集中的探索を行った。その結果、新たにAuやPdなどでもCrとの同時析出が可能であることを見出した。さらには、水分解活性や助触媒を構成する金属の電子状態が、助触媒作成時におけるCr前駆体の濃度によって異なることを明らかにした。AuあるいはPdを担持したSrTiO3は水分解にほとんど活性を示さなかった。しかし、Au-CrあるいはPd-Cr種を助触媒として担持したSrTiO3は水分解に活性となった。特に、Pd-Cr種に関しては、従来知られている逐次光析出を用いて合成したPd/Cr2O3コアシェル型ナノ粒子助触媒よりも高い活性を与えることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
同時析出法に関する多くの基礎的知見が得られたこと、そして従来の逐次光析出を用いて合成したPd/Cr2O3コアシェル型ナノ粒子よりも高い活性を与えるPd-Cr系助触媒の開発に成功したことから、研究は順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
新規に水分解光触媒系としての有用性が明らかとなったAu-Cr/SrTiO3及びPd-Cr/SrTiO3に関しては、より詳細なキャラクタリゼーションを試みるとともに、走査型プローブ顕微鏡を用いた電荷分離状態の直接観察を試みる。特に、担持するPdとCrの量により水の完全分解の活性が著しく変化することに着目し、電荷分離挙動との相関を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
派遣業務の支払いに見積もっていた分を、別予算で支払うことができたため、次年度に繰り越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
当該年度において、主に派遣業務の支払いに充てる予定である。
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