研究課題/領域番号 |
25709082
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
水口 周 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特任准教授 (70512359)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 複合材料 / 航空機構造 / 損傷検知 / 自己修復 / 設計法 / 衝撃損傷 |
研究実績の概要 |
本研究課題では耐損傷性の問題から十分な軽量化にいたっていない複合材航空機構造を対象に、大幅な重量低減を目標とした検討を行う。これまでに構築してきた階層型光ファイバ損傷検知システムを損傷検知・修復ハイブリッドシステムに発展させるとともに、独自の急速補修技術と融合させて構造に適用することで、設計許容ひずみレベルを向上させることを試みる。上記目標の達成に向けて、平成26年度は両技術のフィージビリティ・スタディを行った。具体的には以下の通りである。まず損傷検知・修復ハイブリッドシステムに関しては低粘度常温硬化エポキシ樹脂を修復剤として用いるシステムを構築し、双片持ち梁試験により層間剥離の検知・修復を行った。一部不安定な亀裂進展が確認されたものの、十分な剥離検知精度および層間破壊靭性値の回復率が確認された。続いてこのハイブリッドシステムを複合材補強パネルのストリンガフランジ部に適用した。その結果、衝撃後圧縮強度を80%程度回復可能であることを実証するとともに修復剤改質の必要性等の課題を抽出した。一方の急速補修技術においては、従来の設計思想に基づく基準試験片と損傷検知・急速補修技術に基づいた板厚が半分の試験片の強度比較を実施した。急速補修により損傷部の局所変形が抑制されることで、板厚を半分にした場合にも基準試験片を上回る衝撃後圧縮強度が得られた。これにより、設計許容ひずみ向上への可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
損傷検知・修復ハイブリッドシステムおよび急速補修技術の構築において、おおむね計画通り着実に技術基盤を固めつつあり、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後はH26年度までの結果を受けて両技術の機能改善を行う。具体的には、ハイブリッドシステムを小型化することでより実用的な構成にするとともに、修復剤の改質を行い損傷修復率を向上させる。一方、急速補修技術においては、赤外線加熱装置を用いた補修パッチ接着技術を新たに導入し、損傷検知システムに内在する損傷情報のあいまいさを加味したロバストな補修技術についてさらに検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験備品をサンプル品で代用したため。
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次年度使用額の使用計画 |
追加試験のために有効に使用する予定。
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