フォノニック結晶と呼ばれる周期ナノ構造を用いて熱伝導を制御し、低環境負荷なシリコンを用いた熱電変換デバイスへの応用を行った。正方格子状に円孔が配列したシリコン薄膜を用いて、ナノワイヤーや薄膜と熱伝導率を比較した。熱フォノンの平均自由行程が数桁にもわたるマルチスケール性を認識し、適切に材料を設計することで効率よく熱伝導率を低減できることを示した。この技術を用いて多結晶シリコン熱電変換材料を作製し、3倍の性能向上を達成した。また、世界で初めてフォノニック結晶の短距離秩序制御による熱伝導率チューニングを実現した。これは、伝熱制御技術を粒子的領域から波動的領域に拡張するマイルストーン的成果となった。
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