研究課題
若手研究(A)
本年度は、PADI4のターゲットを網羅的に探索するためMS-MS解析にてスクリーニングを行った。その結果、空ベクター、野生型PADI4、または酵素活性欠損型PADI4を導入した各細胞内においてそれぞれ4000程度のタンパク質が同定でき、また、PADI4導入細胞では2.2%のタンパク質においてシトルリン化修飾を確認できた。それらシトルリン化タンパク質群には、RNAおよびDNAに対する結合能を有するものが多く含まれており、実際に、数多くのシトルリン化ペプチドが同定されたものはhnRNPタンパク質群であった。最も顕著にシトルリン化を受けたhnRNP G(RBMX)に対する修飾抗体を作成した結果、in vivoでのシトルリン化が証明された。さらに、hnRNPタンパク質群はmRNAの転写から翻訳まで核内で多様な機能を発揮することが知られていることから、RNA splicingに対する影響を検討する目的でPADI4を過剰発現させた細胞由来のRNAを用いて、RNAシークエンスを施行した。現在データの解析を進めている。また、PADI4の癌化における生理的な意義を検討する目的で、Padi4-/-p53+/-マウス及びPadi4+/+p53+/-マウス間での発癌、生存の違いを検討した。その結果、PADI4-/-p53+/-群において生存期間の有意な短縮と、腫瘍発生が増加する傾向が認められた。またがん組織で報告されている変異について、酵素活性に与える影響を検討した所、多くの変異が機能消失型であることが示された。以上の結果より、PADI4はがん抑制遺伝子として機能する可能性が示された。
2: おおむね順調に進展している
H25年度において、PADI4の新規基質を複数同定し、また癌化における意義について、ノックアウトマウス及びヒト癌での解析を進めた結果、PADI4が癌抑制遺伝子として機能する可能性を明らかとした。上記の結果より、研究は順調に進展していると考えられる。
今年度以降は、PADI4の標的の解析を更に進め、splicingに与える影響を検討する。またPADI4の遺伝子多型が発癌リスクに及ぼすかどうかも検討予定である。
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