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2014 年度 実績報告書

シトルリン化タンパク質の網羅的解析と発癌における機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 25710009
研究機関東京大学

研究代表者

谷川 千津  東京大学, 医科学研究所, 助教 (30422421)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードシトルリン化 / PADI4
研究実績の概要

本研究では、候補分子スクリーニングおよびプロテオミクス解析により新規シトルリン化基質の同定を網羅的に行い、さらに基質同定後は、修飾によるタンパク質の機能変化及びその生理的意義について解析を進めていく事を目的としている。
本年度は、プロテオミクス解析により同定されたシトルリン化ペプチドの配列情報を用いて、修飾を受けるアルギニン残基の前後配列にどのような特徴があるか検討した。その結果、酸性アミノ酸と一部の極性アミノ酸が周辺に多いことが明らかとなった。そこで、シトルリン化修飾におけるコンセンサス配列に対してシトルリン化抗体の作製を試みた。また、アルギニン残基はメチル化修飾も受けうることから、メチル化とシトルリン化の両修飾の関係性について検討したところ、両修飾が同一アルギニンに対して競合している可能性が、in vitroおよびin vivoの実験にて示唆された。
前年度に行ったRNA sequenceの結果を解析し、PADI4がSplicingに関与するか検討した。その結果、10遺伝子について、Padi4野生型マウスとノックアウトマウス間で、骨髄におけるvariantの発現パターンが異なることが明らかとなった。また実際に、リアルタイムPCRにて、骨髄におけるPADI4 mRNAの発現がマウス24組織中で最も高いことが示され、さらにWestern blottingにて骨髄でのPADI4タンパク質の発現を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画にある項目に関して、解析が無事に終了している。RNA sequenceの解析も完了し、PADI4がSplicingに関与する事が示された。プロテオミクス解析により同定されたシトルリン化基質群を用いたPathway解析によっても、PADI4のSplicingへの関与が示唆されており、結果に矛盾はないと考えられる。さらに、以前より注目されていたシトルリン化とメチル化の競合性について、新たな知見を得ることができた。こちらに関しては、今後さらに解析を行う予定である。

今後の研究の推進方策

平成26年度は、質量分析による網羅的解析の結果得られたシトルリン化ペプチド群の配列を用いて、シトルリン化修飾のコンセンサス配列を導き出した。さらに、そのモチーフに対するシトルリン化抗体を作成した。これらの成果を元に、平成27年度は以下の解析を行っていく。
a)in vivoにおけるシトルリン化の検討
b)シトルリン化部位の決定と特異的抗体の作成
c)基質タンパク質にシトルリン化修飾が及ぼす影響の解析
a)およびb)については、作成したシトルリン化モチーフ抗体を用いて、生理的条件下でのシトルリン化を検討する。U2OS細胞にDNAダメージを与えた系に加え、マウス臓器の中で最もPadi4の発現が高い骨髄を用いて、この検討を行う。実験としては、Western blotting、免疫染色などを予定している。また、シトルリン化モチーフのペプチドを作成し、リウマチ、癌などの患者血清中に、シトルリン化モチーフに対する抗体が存在するかどうか検討する。c)については、シトルリン化モチーフを持つ基質候補群に関して、各タンパク質の機能に沿った解析を行っていく。多くのタンパク質がRNA結合タンパク質であることがわかっている。そこで、どの段階のRNA processingの過程に関わっているかを検討予定である。また、PADI4遺伝子領域内の一塩基多型について、バイオバンクジャパンに登録されている13の癌種について約1000例ずつ用いて、遺伝子型の決定をInvader法により行う。その後、統計解析を行い各多型が疾患発症に関与するか検討する。これらの解析によって、PADI4を介したシトルリン化の発癌における意義について明らかにすることが可能となる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Genome-wide association study identified SNP on 15q24 associated with bladder cancer risk in Japanese population.2015

    • 著者名/発表者名
      Koichi Matsuda, Atsushi Takahashi, Candace D Middlebrooks, Wataru Obara, Yasutomo Nasu, Keiji Inoue, Kenji Tamura, Ichiro Yamasaki, Yoshio Naya, Chizu Tanikawa, Ri Cui, et al.
    • 雑誌名

      Hum Mol Genet.

      巻: 24 ページ: 1177-1184

    • DOI

      doi: 10.1093/hmg/ddu512.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identification of novel epigenetically inactivated gene PAMR1 in breast carcinoma.2015

    • 著者名/発表者名
      Paulisally Hau Yi Lo, Chizu Tanikawa, Toyomasa Katagiri, Yusuke Nakamura, Koichi Matsuda
    • 雑誌名

      Oncol Rep.

      巻: 33 ページ: 267-273

    • DOI

      doi: 10.3892/or.2014.3581.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Late Cornified Envelope Group I, a novel target of p53, regulates PRMT5 activity.2014

    • 著者名/発表者名
      Zhenzhong Deng, Koichi Matsuda, Chizu Tanikawa, Jiaying Lin, Yoichi Furukawa, Ryuji Hamamoto, Yusuke Nakamura
    • 雑誌名

      Neoplasia.

      巻: 16 ページ: 656-664

    • DOI

      doi: 10.1016/j.neo.2014.07.008.

    • 査読あり
  • [学会発表] Regulation of RNA processing by p53-PADI4 pathway2014

    • 著者名/発表者名
      谷川千津、植田幸嗣、中川英刀、中村祐輔、松田浩一
    • 学会等名
      日本癌学会学術集会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜、神奈川県横浜市
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27
  • [学会発表] Proteomic analysis of citrullinated targets regulated by the p53-PADI4 pathway2014

    • 著者名/発表者名
      Chizu Tanikawa, Koji Ueda, Hidewaki Nakagawa, Yusuke Nakamura, Koichi Matsuda.
    • 学会等名
      American Association for Cancer Research
    • 発表場所
      San Diego, California, USA
    • 年月日
      2014-04-05 – 2014-04-09

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公開日: 2016-06-01  

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