研究課題
本研究では、プロテオミクス解析により新規シトルリン化基質の同定を網羅的に行い、さらに基質同定後は、修飾によるタンパク質の機能変化及びその生理的意義について解析を進めていく事を目的としている。はじめに、10000を超えるペプチドの分析から、PADI4発現細胞において250を超えるシトルリン化ペプチドを同定した。これらシトルリン化タンパク質の多くが、RNA結合タンパク質であることがわかった。次に、同定したシトルリン化ペプチドの配列情報を用いて、修飾を受けるアルギニン残基の前後配列にどのような特徴があるかを検討し、コンセンサス配列を決定した。さらに、この配列に対してシトルリン化モチーフ抗体を作製し、in vivoにおけるシトルリン化を検証した。シトルリン化修飾は、アルギニン残基の正電荷を消失させることで、タンパク質の高次構造に影響を与えることが知られている。これまでに、慢性関節リウマチをはじめ様々な疾患において、シトルリン化ペプチドが非自己として認識されることで、疾患発症と関連することが報告されている。そこで、本研究で決定したシトルリン化コンセンサス配列の修飾ペプチドを合成し、リウマチや癌などの患者血清中に同配列に対する抗体が存在するかどうか検討した。その結果、一部の疾患において、約15%の患者で自己抗体が陽性となっていた。本研究により、シトルリン化修飾についての知見が深まり、さらに生理的な意義が明らかとなったと考えられる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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