研究課題/領域番号 |
25710020
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
石川 俊平 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (50418638)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 癌 / ゲノム / 病理学 |
研究実績の概要 |
インターラクトーム解析をより包括的に行うために、データベースのアップデートを行った。PPIデータベースからこれまでインターラクトームのデータベースにはいっていなかったものについて文献を検索して追加を行った。また獲得免疫系に関わる分子など、ヒトとマウスのオルソログ関係がはっきりしないものについては別途まとめることによって高精度化を行った。また各検体のインターラクトームの相対的な強度の比較、グループの平均的なプロファイルの可視化が可能なように、インターフェイスの構築を行った。 これらのデータベースを用いて、複数のがん種の細胞株のゼノグラフトからインターラクトームのシーケンシングのプロファイリングを行った。間質の多い腫瘍においては、強い相互作用の数が多く観察され、また血管の多い腫瘍では血管新生のプロファイルが顕著に認められるなど、当該組織を反映したインターラクトームのプロファイルが得られていることが分かった。いくつかの分子標的となりうる既知の相互作用についても移植した細胞種によって大きく別れることがわかった。また同一患者由来の検体においても、原発巣と転移巣由来のゼノグラフトにおいてはがんと間質の相互作用の様式が大きく異なることが判明した。これらの相互作用を担うリガンド分子、受容体分子のいくつかについて免疫組織学的化学について各タンパクの局在について検証を行い、癌特異的発現、間質特異的発現が見られることを確認できている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
包括的な解析からいくつかの候補が絞られてきており、検証に着手している。当初の予定通りと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
癌・間質の両者をターゲットをする複雑な分子標的治療薬のバイオマーカー探索を予定している。Xenograftに投与し抗腫瘍効果発現時のがん-間質インターラクトームの変化を解析し、がん細胞側、血管等の間質細胞の相対的寄与度の概要をつかみ重要な相互作用を特定する。またこれたの解析結果で重要ながん間質相互作用及びその相互作用を担うタンパク候補についてはXenograft症例を増やして検討するとともに、化合物・抗体等を用いて介入を行い抗腫瘍効果の検討を行う。また当該腫瘍のXenograft組織や臨床組織の免疫染色等によりタンパクの局在やその集団内頻度についての検討を行う。
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