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2014 年度 実績報告書

ヒトにおける温度感知機構の構造生物学

研究課題

研究課題/領域番号 25711004
研究機関鳥取大学

研究代表者

日野 智也  鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (40373360)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードイオンチャネル / TRPチャネル / 温度感知 / 構造生物学 / 膜タンパク質
研究実績の概要

温度は、生物の生命活動の恒常性を維持するうえできわめて重要な物理的情報である。ヒトでは、30℃を中心として上下15℃程度の範囲内の温度を冷感や温感として識別する事ができ、この範囲を超える温度域では温度感覚とともに痛覚の発生を伴う事が知られている。このような温度感覚発生のチュ心的役割を担う分子実体が非選択的陽イオンチャネルとして機能するTRPチャネルファミリーである。本研究では、ヒトにおける温度感覚の分子メカニズムの解明を目指し、温度感知機能を担うTRPチャネルの高分解能結晶構造解析を目的とする。
前年度までに、出芽酵母発現系による高純度なTRPチャネルの調製法を確立した。本年度は、結晶化や抗体作成に十分な量の精製試料を調製するために、イオンチャネルの結晶化に実績の豊富なピキア酵母発現系を構築した。その結果、TRPV1については出芽酵母発現系に比して3倍の精製試料を得られるようになった。TRPA1については、ピキア酵母発現系では発現量が減少したため、引き続き出が酵母発現系を用いて精製試料を調製し、結晶化スクリーニングを行ったが、良好な結晶は得られていない。TRPV2、TRPV3、TRPV4、TRPM4についてもピキア酵母発現系の構築が完了し、特にTRPV4については抗体作成に着手し、立体構造認識抗体を複数クローン得るまでに至った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

TRPV4については、共結晶化に用いる抗体作成に着手し、複数種の候補抗体を得る事ができたが、TRPV1およびTRPA1については精製試料にプロテアーゼによる切断された断片が含まれる事、発現量が少ないなどの問題により抗体作成着手にまで到達できなかった。
ただし、その他のTRPチャネルについては大量発現や精製が順調に進展している。

今後の研究の推進方策

TRPV4については、これまでに得られているモノクローナル抗体との共結晶化を開始し、結晶構造解析を目指す。また、得られた抗体に関して、培養細胞やリポソームに再構成したTRPV4を用いてTRPV4の機能への影響を調査する。TRPV1については、モノクローナル抗体の作成に着手し、結晶化に適した抗体をスクリーニングにより得る。TRPA1については、ピキア酵母での発現にコドン最適化したDNAを合成し、発現量の向上を試みる。
同時に、電子顕微鏡での単粒子解析による立体構造決定を目指し、他機関との共同研究を行う予定である。さらに、精製したTRPチャネルのカロリメトリーを用いた熱力学量測定、ケミカルライブラリーを用いて、温度感域を変調させるような化合物のスクリーニングを行うことで、総合的にTRPチャネルによる温度感知のメカニズム解明に迫る。

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公開日: 2016-06-01  

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