生物における温度感知は、環境温度の変化に適切に対応する上で不可欠な生理機能である。本研究では、ヒトの温度感知に関わるTRPイオンチャネルについて、その温度感知機構を原子レベルで理解することを目的とし、TRPチャネルの立体構造決定に向けた試料調製手法の確立と、結晶化を促進する抗体の作成に取り組んだ。その結果、9種のヒト由来温度感知型TRPチャネルをメタノール資化性酵母Pichia pastorisで大量発現させることに成功し、GFP-nanobodyを固定化した担体を用いることで、迅速に高純度試料を精製する手法を確立した。さらに、TRPV4については立体構造認識抗体を複数種得ることに成功した。
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