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2015 年度 実績報告書

選択的オートファジーにおける分解標的認識制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25711005
研究機関東京工業大学

研究代表者

中戸川 仁  東京工業大学, 生命理工学研究科, 准教授 (90414010)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワードオートファジー / 翻訳後修飾 / 細胞内分解 / 細胞小器官
研究実績の概要

選択的オートファジーでは、レセプタータンパク質が分解標的を認識し、Atg11というアダプタータンパク質を介してオートファゴソーム形成装置を標的上にリクルートする。出芽酵母には、液胞酵素会合体、ミトコンドリア、ペルオキシソームを標的とする選択的オートファジー経路があり、それぞれ、Atg19/Atg34, Atg32, Atg36がレセプターとして機能する。本研究では、タンパク質キナーゼHrr25が、Atg19, Atg34, Atg36をリン酸化し、これらとAtg11との結合を強化することで、それぞれが誘導する選択的オートファジー経路を正に制御することを明らかにしてきた。当該年度は引き続き、Hrr25によるレセプターのリン酸化の制御機構を明らかにすべく解析を進めた。Pex3は、ペキソファジーのレセプターAtg36がペルオキシソームへ局在する際の足場となるペルオキソームタンパク質である。Pex3欠損細胞では、Hrr25によるAtg36のリン酸化がほとんど起こらなくなることを見いだした。Atg36のペルオキシソームへの局在化あるいはPex3との相互作用がHrr25によるAtg36のリン酸化に重要である可能性が示唆された。また、核および小胞体の選択的オートファジーを駆動する新規レセプターAtg39, Atg40に関する成果をNature誌に報告した。その後の解析から、Hrr25をノックダウンすると、核および小胞体の選択的オートファジーにも部分的ではあるがで欠損が生じることが明らかとなった。Hrr25がAtg39およびAtg40をリン酸化する可能性について検証中である。Atg39およびAtg40の発現は、窒素源飢餓に応じて誘導される。このメカニズムの研究も開始し、Atg40の発現は、富栄養条件では、Rpd3ヒストン脱アセチル化酵素複合体により抑制されていることが明らかとなった。一方、Atg39の発現は同複合体の変異株でも変化がなかった。したがって、Atg39とAtg40の発現は異なるメカニズムで制御されていることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画と一部異なる進捗状況となっているが、新たな発見も生まれており、研究は概ね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

引き続き、Hrr25によるレセプターのリン酸化の制御機構を明らかにする。昨年度までに、選択的オートファジーの誘導条件/非誘導条件でHrr25と結合する因子の候補を、Hrr25の免疫沈降産物の質量分析により網羅的に同定した。これらの中からHrr25によるレセプターのリン酸化に関与する因子を探索する。また、ペルオキシソームタンパク質Pex3がHrr25によるAtg36のリン酸化に必要であることが明らかとなったため、リコンビナントタンパク質を用いた試験管内リン酸化反応再構成系を用いるなどして、この具体的なメカニズムを明らかにする。同様にして、他のレセプター(Atg19およびAtg34)についても、これらの標的への局在化がHrr25によるリン酸化を促す可能性について検証する。Hrr25がAtg39およびAtg40のリン酸化を介して核および小胞体の選択的オートファジーを制御する可能性についても解析を進める。これらレセプターの発現誘導機構に関する解析もさらに進める。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Goethe University/Max Planck Institute(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      Goethe University/Max Planck Institute
  • [雑誌論文] Receptor-mediated selective autophagy degrades the endoplasmic reticulum and the nucleus2015

    • 著者名/発表者名
      Mochida K, Oikawa Y, Kimura Y, Kirisako H, Hirano H, Ohsumi Y, Nakatogawa H
    • 雑誌名

      Nature

      巻: 522 ページ: 359-362

    • DOI

      10.1038/nature14506

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Phospholipid methylation controls Atg32‐mediated mitophagy and Atg8 recycling2015

    • 著者名/発表者名
      Sakakibara K, Eiyama A, Suzuki SW, Sakoh‐Nakatogawa M, Okumura N, Tani M, Hashimoto A, Nagumo S, Kondo‐Okamoto N, Kondo‐Kakuta C, Asai E, Kirisako H, Nakatogawa H, Kuge O, Takao T, Ohsumi Y, Okamoto K
    • 雑誌名

      EMBO Journal

      巻: 34 ページ: 2703-2719

    • DOI

      10.15252/embj.201591440

  • [雑誌論文] Regulated Degradation: Controlling the stability of autophagy gene transcripts2015

    • 著者名/発表者名
      Nakatogawa H
    • 雑誌名

      Developmental Cell

      巻: 34 ページ: 132-134

    • DOI

      10.1016/j.devcel.2015.07.002

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 選択的なオートファジーによる小胞体および核の分解2015

    • 著者名/発表者名
      持田 啓佑、中戸川 仁
    • 雑誌名

      ライフサイエンス 新着論文レビュー

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.7875/first.author.2015.080

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] オートファジーによる小胞体と核の選択的な分解機構2015

    • 著者名/発表者名
      持田 啓佑、中戸川 仁
    • 雑誌名

      細胞工学

      巻: 34 ページ: 1076-1077

  • [雑誌論文] オートファジーによる小胞体と核の分解2015

    • 著者名/発表者名
      中戸川 仁、持田 啓佑
    • 雑誌名

      実験医学

      巻: 33 ページ: 2986-2989

  • [雑誌論文] Appetite for ER/nucleus destruction2015

    • 著者名/発表者名
      Mochida K, Nakatogawa H
    • 雑誌名

      Cell Cycle

      巻: 14 ページ: 3209-3210

    • DOI

      10.1080/15384101.2015.1084206

  • [雑誌論文] Reticulophagy and nucleophagy: new findings and unsolved issues2015

    • 著者名/発表者名
      Nakatogawa H, Mochida K
    • 雑誌名

      Autophagy

      巻: 11 ページ: 2377-2378

    • DOI

      10.1080/15548627.2015.1106665

    • 謝辞記載あり
  • [学会発表] オートファジーによる小胞体と核の選択的分解2016

    • 著者名/発表者名
      中戸川 仁
    • 学会等名
      遺伝学研究会
    • 発表場所
      国立遺伝学研究所、三島
    • 年月日
      2016-03-26
    • 招待講演
  • [学会発表] Molecular Mechanisms of ER-Phagy and Nucleophagy in Yeast2016

    • 著者名/発表者名
      中戸川 仁
    • 学会等名
      Gordon Research Conference
    • 発表場所
      米国 カリフォルニア
    • 年月日
      2016-03-21
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] オートファジーにおける膜の核形成と伸張のメカニズム2015

    • 著者名/発表者名
      中戸川 仁
    • 学会等名
      第9回オートファジー研究会
    • 発表場所
      淡路夢舞台、淡路
    • 年月日
      2015-11-16
    • 招待講演
  • [学会発表] オートファジーによる小胞体と核の分解: 特異的因子の同定とメカニズムの解明2015

    • 著者名/発表者名
      中戸川 仁
    • 学会等名
      創薬シーズ開発研究会
    • 発表場所
      横浜市立大学、横浜
    • 年月日
      2015-11-05
  • [学会発表] 出芽酵母における小胞体と核の選択的オートファジー2015

    • 著者名/発表者名
      中戸川 仁
    • 学会等名
      酵母遺伝学フォーラム
    • 発表場所
      広島大学、東広島
    • 年月日
      2015-09-02
  • [備考] 中戸川研究室Webページ

    • URL

      http://www.nakatogawa-lab.bio.titech.ac.jp/index.html

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公開日: 2017-01-06  

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