研究実績の概要 |
上皮細胞のアピカル膜には微絨毛と呼ばれる細胞膜の突起構造が存在する。微絨毛の構築については、これまで主に微絨毛の内部に存在するアクチン細胞骨格の動態制御の観点から研究が為されてきた。私たちは、微絨毛の細胞膜領域にスフィンゴミエリンが高度に集積していることを見出した(Ikenouchi et al. J Cell Sci 2013)。またスフィンゴミエリンはポドカリキシンと呼ばれる1回膜貫通型タンパク質と相互作用することによって、細胞質側にPI(4,5)P2の産生酵素であるPIP5K betaを集積させアクチン細胞骨格の伸長に必要なPI(4,5)P2の局所的な産生を促進することを見出した。また、微絨毛の先端部位には別の細胞膜脂質が集積していることを見出した。この脂質と相互作用する膜タンパク質を同定し、現在、その機能解析を進めている(投稿準備中)。また微絨毛とは異なる形質膜の突起構造として細胞膜ブレブが挙げられる。ブレブの形成・退縮に関わる分子機構についても解析を行い、論文を報告した(Aoki et al. PNAS 2016) 。
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