研究課題/領域番号 |
25711013
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
山崎 正和 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40373378)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 発生・分化 / 細胞・組織 / 遺伝学 / 平面内細胞極性 / PCP |
研究実績の概要 |
平面内細胞極性(planar cell polarity, PCP)の形成過程において、非典型的カドヘリンDachsous(Ds)の勾配は位置情報として機能し、個々の細胞の極性の担い手である7回膜貫通型受容体Frizzled(Fz)などの非対称局在を制御する。しかしながら、ショウジョウバエの翅と複眼で、Ds勾配に対するFz局在の向きは反転しており、Ds勾配とFz局在を繋ぐ機構には不明な点が多い。これまでに我々は、「Prickle(Pk)とそのアイソフォームであるSpiny-legs(Sple)の発現比」と「両分子の細胞内局在の違い」がこの謎を解く鍵となることを見出している。 我々は、PkおよびSpleと相互作用する分子として非典型的ミオシンDachsを見出している。DachsのSple結合領域を探索したところ、Dachsの中央に位置するMyosin domainがSpleとの相互作用に重要であることが明らかとなった。また、発生過程におけるSpleの非対称局在はDsのみならずDachsにも依存することが明らかとなった。 上述の実験に加えて、北海道大学 秋山正和博士との共同研究により数理モデルを用いた解析を行った。ショウジョウバエ翅の様々な発生段階においてSpleの過剰発現を行うと、異なるPCP表現型(翅毛の配向性の異常)が観察される。我々は、実験とシミュレーションの相互検証により、Spleの非対称局在が幼虫期(蛹期の前段階)において既に観察されること、さらに幼虫期または蛹期の初期(蛹化後20時間以前)におけるコアグループの僅かな偏りの違いが上述のPCP表現型の違いの原因であることを明らかにした。また、実験で得られる様々なPCP表現型をシミュレーションにおいて再現できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ予定通りに研究が進行しており、目標の達成に充分な成果を得ているため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度、成果の一部を論文として報告した。今後、これまでに得た知見を基に、残りの研究課題について解析を進める。特に、PkとSpleを介したPCP形成の分子機構とPCPの数理モデルに関する研究を中心に進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の関係上、数理モデルを駆使した実験を前倒しで進めたため、より多くの消耗品等の購入が必要な一部の実験を本年度に実施することとしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度の経費とあわせて研究を効率よく進める。
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