研究課題/領域番号 |
25711014
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中川 俊徳 基礎生物学研究所, 生殖細胞研究部門, 助教 (50456894)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 幹細胞 / 精巣 / 精子 |
研究実績の概要 |
精子幹細胞には、実際に正常な状態で幹細胞として振る舞う分画(ASC)と、通常ならば分化するが傷害を受けた時に幹細胞能を発揮する分画(PSC)が存在する。ASCからPSCは生み出されることから、精子幹細胞には階層性が存在することが示されている。本研究は、精子幹細胞の階層性を制御する分子機構を明らかにすることを目的とした。
1)精子幹細胞の培養系を用いた、候補遺伝子の機能解析 従来使用してきたレンチウイルスベクターを用いた精子幹細胞への遺伝子導入を用いず、リポフェクションにて簡便に遺伝子導入できる実験系を作成した。レンチウイルスを使用した場合より導入効率が低いものの、遺伝子導入後に選択を行うことで、トランスフェクションされた細胞だけ回収できた。この実験系を使用し、階層性を制御する候補遺伝子の機能解析を行った。その結果、精子幹細胞維持に必須のGFRa1の発現を上方調節することを見出した。また反対にRargやSox3といった分化に重要な役割をする遺伝子の発現を下方調節することを見出した。 2)生理的条件下での候補遺伝子の機能解析 候補遺伝子を破壊したマウスは、生後間もなく死亡する。そこで候補遺伝子の生体内での機能を解明するために、条件的遺伝子破壊マウスを作成した。このマウスは生殖細胞特異的にタモキシフェン作動性Creリコンビナーゼを発現しているので、他の組織では遺伝子破壊が引き起こされない。このマウスを用いて、正常生体内での候補遺伝子の機能を検討した。現在も解析を継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
精子幹細胞の階層性を制御する遺伝子の候補が同定し、その条件的遺伝子欠損マウスを作成し、解析を進めているため。
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今後の研究の推進方策 |
精子幹細胞の階層性を制御する候補遺伝子を同定した。本年度は、生理的条件下でのそれらの役割を検討するために、条件的遺伝子破壊マウスを解析する。その際、精子形成を破壊した後の再生過程や、老齢マウスでの精子形成に特に注目する。
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次年度使用額が生じた理由 |
H27年から引き続き行う、遺伝子改変マウスの解析に使用する試薬を購入するため。最新の情報を情報から、新しいタイプの試薬が見つかったため、検討するため。
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次年度使用額の使用計画 |
マウス個体に対し、購入した薬剤を投与し、精子幹細胞の振る舞いを検討する。
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