高CO2と気孔発生の関連についてはWoodwardが博物館標本の調査結果を1987年にNatureに発表したことに端を発する.以来,当該研究領域において様々な研究が精力的に推進されたが不明瞭な結果も多く,未だ統一的な見解は得られていない.本研究ではシロイヌナズナ子葉をモデル材料として気孔分布パターン形成に対する高CO2の影響を多面的かつ定量的に検討した.その結果,高CO2は気孔分化と表皮細胞の拡大成長の両方に影響を及ぼすため,両者のバランスによって最終的な表現型が決定される可能性が示唆された.本研究により高CO2と気孔分化に関わる30年来の問題に統一的な理解を得る道筋がつけられたと考えられる.
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