研究課題/領域番号 |
25711023
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
野澤 昌文 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (50623534)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 性染色体 / ショウジョウバエ / 遺伝子量補償 / ゲノム / トランスクリプトーム |
研究実績の概要 |
H28年度は、H27年度に引き続き、過去3年間に得られたゲノム、トランスクリプトームデータを用いて性染色体の分化、特にY染色体の退化とX染色体の遺伝子量補償の関係を調べた。その結果、Drosophila mirandaのNeo-Y染色体は誕生してから約100万年しかたっていないにもかかわらず、染色体上の遺伝子の半分以上がすでに偽遺伝子化していることが明らかになった。また、H27年度に行った解析をより大規模に再解析したところ、(1)Neo-Y染色体だけでなくNeo-X染色体においても常染色体に比べても偽遺伝子化の速度が上昇していること、(2)Neo-Y遺伝子が偽遺伝子だとNeo-X上の相同遺伝子が発現上昇する傾向にあること、が改めて明らかになった。また、Neo-X染色体上に存在し精巣で発現する遺伝子は偽遺伝子になりやすいこと、逆に卵巣で発現する遺伝子は偽遺伝子になりにくい傾向があることも明らかになった。このことはNeo-X染色体がメス化していることを示唆する。これらの成果の一部を論文としてNature Communications誌に発表した。 一方で、H27年度に作成した遺伝子量補償複合体の抗体2つに関しては、その質を確認する予定であったが、研究機関の異動に伴い予定通りに実験できなかった。そのためChIP-seqに関しては進展させることができなかった。また同様の理由から、D. mirandaにおけるMSLノックアウト変異体の作成も進めることができなかった。以上の理由から1年間の補助期間延長を申請し、了承していただいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H28年4月1日付で首都大学東京に異動し、研究環境のセットアップに時間を要した。その結果、ChIP-seqの実験を進めることができなかった。また、D. mirandaにおけるMSLノックアウト変異体の作成も進めることができなかった。以上の理由から1年間の補助期間延長を申請し、了承していただいた。
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今後の研究の推進方策 |
ChIP-seqの実施およびMSLノックアウト変異体の作成を行う。また、D. mirandaとは独立にNeo性染色体を獲得したD. albomicans、D. americanaとの比較を行い、ショウジョウバエNeo性染色体の進化における共通性と独自性を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究機関の異動に伴い、予定していた実験を遂行できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
ChIP-seq実験に必要な消耗品を購入する。また、H28年度に購入した蛍光実体顕微鏡を有効に使いながらD. mirandaにおけるMSL変異体の作成を目指す。そのために必要に応じて実験補助員の雇用に使用する。
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