研究課題
脳の肥大化、特に前頭前野の肥大化と、その結果としての言語の獲得による複雑なコミュニュケーション能力は、ヒトが他の霊長類と顕著に異なる特徴である。そこで、本研究では、ヒトを特徴付ける最も大きな特徴である脳の発達・進化を「ヒトとは何か?」という問いに対するひとつの切り口として捉え、ヒトと非ヒト類人猿(チンパンジー・ゴリラ・オランウータン・テナガザル)を対象とした死後脳(8領野:運動前野、前頭前野背外側部、前頭前野腹外側部、一次視覚野、前帯状皮質、線条体、視床、小脳)における比較トランスクリプトーム研究を行った。新潟大学脳研究所、京都大学霊長類研究所との共同研究において収集した、ヒト6献体、チンパンジー6個体、ゴリラ1個体、テナガザル1個体の脳試料を用いて、計101個のトランスクリプトーム用の作製を行い、次世代シーケンサーによる発現解析を行った。その結果、小脳も含め解析対象とした8脳領域において、ヒトとチンパンジーは種ごとにクラスターを形成することが明らかになった。また、アウトグループとしてゴリラとテナガザルを用い、ヒトとチンパンジーのそれぞれの系統において特異的に発現パターンを変化させた種特異的発現変動遺伝子(例:ヒト特異的に発現を上昇または減少させた遺伝子)の数と、脳領野ごとにヒト-チンパンジーのその割合の比較をした結果、海馬をのぞく脳領域において、ヒトが有意に遺伝子の発現パターンを変化させている割合が多いことを明らかにした。また、進化の過程でそれら発現パターンを変動させてきた遺伝子群には、精神・神経疾患関連遺伝子が数多く含まれることも明らかにした。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件、 招待講演 6件) 備考 (3件)
Genome research
巻: 26 ページ: 301-314
10.1101/gr.198473.115
PLoS One
巻: 10 ページ: e0132016
10.1371/journal.pone.0132016
http://cnsi.nins.jp/pcg/
http://www.nins.jp/cnsi/download/index.php
http://www.nips.ac.jp/research/group/post-48/