本研究では、ヒトを特徴づける最も大きな特徴である脳の発達・進化を「ヒトとは何か?」という問いに対するひとつの切り口として捉え、ヒトと非ヒト類人猿を対象とした死後脳複数領野における比較トランスクリプトーム解析を行った。ヒト、チンパンジー、ゴリラ、テナガザルの脳試料を用いて、合計101個のトランスクリプトーム用のライブラリ作製を行い、次世代シーケンサーによる発現解析を行った。その結果、ヒトとチンパンジーのそれぞれの系統において特異的に発現パターンを変化させた遺伝子数を解析した結果、海馬をのぞく領域において、ヒトの系統において発現パターンが変化した遺伝子数が有意に多くなっていることを明らかにした。
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