研究課題
本研究は、イネ種子を構成する胚と胚乳において、それぞれのサイズを規定する胚周辺胚乳領域の構築過程を3つのphase(確立、維持、領域規定)にわけ、胚ー胚乳サイズに重要な鍵因子であるREDUCED EMBRYO1(RE1)、RE2、GIANT EMBRYO(GE)、GOLIATH(GO)遺伝子の機能解析や新奇因子の同定を通じて、それぞれのphaseにおける分子発生学的基盤を明らかにすることを目的として実験を行った。本年度は、平成27年度に単離した維持phaseに関わるre3変異体の候補原因遺伝子の野生型ゲノム断片を用いた相補性試験とCRISPR-Cas9法による遺伝子破壊を行い、候補遺伝子の確認作業を行った。その結果、候補として見つかったcystein oxidaseをコードする遺伝子がre3変異体の原因遺伝子であることが特定できた。発現解析を行った結果、この遺伝子は根で強く発現するが、胚や胚乳でも発現していることが確認された。in situ hybridization法を用いた発現パターンを調べた結果、胚乳、胚どちらの組織でも一様に発現が認められ、RE1、RE2、GE遺伝子に見られるような特異的な発現パターンは検出されなかった。近年、シロイヌナズナのRE3オーソログ遺伝子が低酸素条件下で誘導される遺伝子の発現調整を行うセンサーと機能することが報告されている。このことから、RE3遺伝子がイネの胚サイズの維持phaseにおいて胚乳組織における酸素状態を認識して様々な遺伝子の発現調節を行っている可能性が示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plant Science
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